『失われた翼』

主なキャラクター:ロック(マダム・リーザ)、モールミオナ、オハラ氏、ラインハルト大佐、ヨーマ大佐、ロウェル・パミル少尉、モート・アンカ、フリーマン教授

 

 活発化する各地の独立運動に業を煮やした帝国は、N弾などによってそれら惑星の全住民を抹殺する「浄化」計画を開始。惑星ルハラでは長くラインハルト大佐率いる独立軍と戦っていた帝国軍があとをヨーマ大佐の傭兵部隊に任せて撤退、ヨーマ大佐は独立軍司令部に直接攻撃を仕掛ける。

 一方ポルトルハラ市で暮らしていたモールは、家出娘ミオナを助けたことから育て親のマダム・リーザとともに彼女を故郷の村まで送ってゆくことに。しかしその直後「浄化」を行うロボット船「ジェノサイド」がルハラ星にN弾(中性子爆弾)を投下する・・・。


 いよいよ帝国シリーズ後半の鍵を握るSOEが登場。各地の独立軍を支援してまわる、という彼らのスタンスはかつてのラフノール(『魔術師の鏡』)を思わせるが、まさかどこかでつながりがあったりするのだろうか?SOEの「帝国にはない技術」というのも、ロックがラフノールに渡した連邦のデータを思わせるし、実際のちに『アストロレース』でSOEの依頼で星間レースにエントリーした(船の手配などSOEがお膳立てした)イライザ(ロック)の船は連邦の技術をさまざま搭載していたからなあ。まあ後者については『失われた翼』以降にロックがSOEにデータを提供したとも考えられる。ロックならきっとこの時点でもデータをしっかり記憶していただろうから。前者についても例の地球の研究所(『書を守る者』)の成果とも考えられるし。

 それはともかく、ラフノールによる反帝国運動→銀河コンピューターの破壊計画の際には帝国側に立ったロックがここでSOEについた―ナガトやトレスが築きあげた、ロック自身もマイノック公(セテ)としてその発展の一翼を担った帝国をつぶす側にまわったのは、よくよく「浄化」計画が腹に据えかねたからだろう。ロックの住む惑星に「浄化」を仕掛けてしまったのは(どのみちいずれは対決せざるを得なかったろうが)カルダームIV世最大の不覚と言えるかも。

 そして気になるのが「帝国とそのコンピューターが人類の翼を奪ったのだ!」「いつの日か帝国という古い殻を・・・破りすて ふたたび宇宙へと飛びたつわけだ」というフリーマン教授のセリフ。ライガー教授もかつて、連邦が星々の自由な発展を妨げていると語っていた。そして銀河コンピューターを作ったのは、そのライガー教授なのである・・・。歴史の皮肉、とも取れるが、この二人の相似にはそれ以上の含みがあるような気もします。

 個人的見所はというと、大人になったモールとミオナ。ラグとレマ以来の脇役カップルですね。彼らがいなかったら、この話もっと暗い展開だったはず。しかしロウイは気の毒すぎ。ついでにフリーマン教授に「君は?」と聞かれて「SOE」とだけ答えるロックがそっけなさすぎて笑えます。

 

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