『デスペラード』

主なキャラクター:ロックヴィニブラスター・ジャック、ケンジ・ゴダード、デボン、ストーカー、ラドバン、調整官、ルシファー、ハリエット、スターク大佐

 

 調整官の許可のもと決闘が認められている辺境の某惑星で、ロックは盗賊「デザート・ラッツ」に襲われた少女ヴィニを助ける。彼女は行方知れずの兄を探してほうぼう旅しており、事情を知ったロックは兄探しに協力することに。

 一方石油の出る沼地の所有権をめぐって、領主グスタフ・ラドバンは「デザート・ラッツ」を、もう一人の領主ストーカーは「死神」ジャック=ハルを雇って武力行使に出る。また調整官助手ケンジ・ゴダードは、「デザート・ラッツ」退治のために、土地の提供を代償に旧知の傭兵部隊「ブラックシープ」を雇う・・・。


 『ロック』シリーズでは異色の西部劇仕立てのエピソード。ときどきこういう、特殊な自然環境や習慣を持つ辺境惑星を舞台に、大筋には関係の薄い単発的な話が入りますね。『光の剣』とか『バーミリオン・デザート』とか(『光の剣』は『アウター・プラネット』に繋がったことで宇宙の歴史の流れに影響を与えたが)。

 保安官、決闘、土地の権利争いといったいかにも西部劇なテーマに、『ロード・レオン』以来の〈兄妹愛〉がからんでくる。この〈雇われたものの現場に来てみたら仕事が失くなっていた傭兵集団が他からの依頼を請け負ったところターゲット側の逆襲にあって全滅〉というのは『炎の虎』を彷彿とさせる展開だが、ここでは純粋に正義感と職業意識から傭兵を土地に引き込んだ保安官ケンジ・ゴダードの板ばさみの苦悩がストーリーに悲哀さを加えている。副主人公であるジャック=ハル(クリストフ・アシダ)も兄妹愛と職業倫理のはざまで苦しみ、結果逃避しつづけた男である。ヴィニがケンジを兄と思いあやまったのも、そのへんに共通する匂いがあったからかもしれない。

 ラスト、この二人がさしたる理由もなく(けじめをつけるためではあろうが戦うことでお互い何を得られるでもない。相手を憎んでるわけでさえない)決闘するに至るというあたり、何というか・・・ハードボイルド。見た目も性格も可愛い系ヒロインのヴィニが前面に出てるので目立ちにくいが、この話じつは結構な骨太の男のドラマではないだろうか。

 

 

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