温泉ライオット〜RIOT THE ZUBERMAN〜(第2回)
かくて、ライオットは温泉に住み込むこととなったのである。ただ温泉につかるばかりで仕事をしないかと思いきや、そこは本来の真面目な性格が発揮されて力仕事やら何やらに彼は燃えていた。燃えてはいるのだが、客が来ないことにはどうにもならない。例の地あげ屋だかが露骨にじゃましに来た場合はぶっとばしてやるのだが、何が悪いのかどうも客足が伸びないのだ。まだ借金もずいぶん残っているというのに。
困ったもんだ、とため息をつきながら、浴場(といっても岩だらけの露天風呂だが)のこけを掃除していると、少女がこちらにやってきた。
「ライオットさん、もう今日はいいですよ。」
「しかし、まだ底の方が・・・」
「いいんです。今日はもうお客さまもないし・・・ごはんにしましょう。」
「お客さまもないし・・・」といった時、少女が目を伏せたのにライオットは気づいて何やら切なくなった。
「ああ、じゃあここの掃除だけ終わらせるから・・・先に行っててくれ。」
「ええ、分かりました。」
彼女は微笑んだ。ライオットがこの温泉(あ、名前決めてないや)のために一生懸命になるのがうれしかったのだ。
彼女が行ってしまうと、ライオットはしばし考えに沈んだ。
――確かに温泉の収益をあげるためには客が来なくては話にならん。どのようにして客を集めるか・・・・・・――
元ギャラクシーフライヤーズ社宣伝部長は必死で考えながら一歩を踏み出し、ものの見事にこけに滑って引っくり返った。
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