『アストロレース』

主なキャラクター:デイブヒルイライザ・シムノンロック)、サラ・モステル、ヤマグチ、タケシ、EVNの部長

 

 全銀河規模で行われる星間レースが開催、大会の常連パイロットのデイブとナビゲーターのヒルのコンビは、持ち前の腕と度胸で好調に滑り出す。彼らは初出場の美人パイロット、イライザ・シムノンと親しくなるが、彼女が異常な好成績に加え一人で船を動かしていると知って仰天する。

 やがてトップに躍り出たイライザは数々の不審点から不正が噂されるように。レースを中継しているEVN(帝国ビデオニュース)の部長は、イライザがその美貌にもかかわらず全くの無名であったことやカメラ事故の連続から、彼女がエスパーでESPによる不正を行っているのではないかと考えはじめる。

 皆の思惑をよそにイライザは第3ステージのトップに出て、密かにコース上にセンチされたランドマーカーをESPによって移動する。イライザ=ロックの目的はコース近くのSOEの補給基地が発見されないようコースを改変することにあった。一方、会社からどんな手段を使っても勝つよう厳命されX線レーザーを持たされた「ルーナン」のタケシは、良心と会社の間で苦しんでいた・・・


 当初、ロックの影も形もなく展開される陽気な宇宙船レースに、これはどういうお話なのかとしばしびっくり(『星と少年』『愚か者の船』なども終盤までロックが登場しないが、ストーリーは非常に『ロック』的)。ヒロイン(笑)のイライザはキュートだしデイブ&ヒルのトライデントコンビは面白いしの楽しいエピソード。

 「ルーアン」のタケシや、一見陽気なおっちゃんのデイブだってそれぞれに苦しみを抱えているのだが、トータルの雰囲気はやはり明るい。それは何より、イライザ=ロックとデイブたちの信頼関係にあるだろう。イライザはデイブとヒルの記憶を消すことも出来たのにそうしなかった。デイブたちもその信頼に応えて自分たちが知ってしまった大秘密について一切口をつぐんだ。

 それ以前にそんな秘密を抱えている、自ら「反帝国ゲリラ」と言い切った彼女を幾分怖れはしても、テロリストとして(たとえば『ロンウォールの嵐』でロックがテロリストと知らされた後のナディアのように)危険な異常者扱いにしなかった。彼らが帝国の現状をとりわけ憂えていて反帝国主義者に気持ちを寄せているとも思えないから、自分たちの知っているイライザ・シムノン個人を信じたということだろう。レースの初期に自分からデイブに声をかけたロックの見る目は確かだったわけだ。

 彼らは何も語らないことで結果的に打倒帝国に協力したことになるわけで、のちの新銀河連邦の影の功労者と言えるかも。イライザの危機を助けた代わりに、イライザにコースミスのデータを消してもらったり燃料をわけてもらったりしたおかげで優勝できた彼らは、「情は人のためならず」を地でいってたなあ。

 ところでロックに星間レース出場を依頼したSOEの(いかにも要職にありそうな風情の)女性は、もしかするとフリーマン教授の娘・ラナの後の姿だったりするのだろうか(『書を守る者』で登場したイメルダ・フリーマン博士は名前からして明らかにフリーマン教授の血筋なので、フリーマン教授の一族が代々SOEの要職にあっても不思議じゃない)。時期的にもあってそうな気がするのだが。

 

 

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