ウェンディ・クランベール

 

 『クランベールの月』登場。連邦軍の提督で惑星クランベールの発見者。しかしクランベール発見のさい出会った知的生命体「彼ら」に魅了され、軍の記録と部下たちの記憶を偽装してクランベールの衛星(月)に残り、「彼ら」の力によって永遠の生命を得る。正確には得たと思っていたというべきか。

 彼女の満ち足りた生活はクランベール開発チームがクランベールにやってきたことである意味危機に陥るのだが、開発チームに対する秘かな精神コントロールと「彼ら」が創り出した(と思われる)「豆の木」による妨害によって開発計画を長引かせるという手段で、月の存在が外部に知られることを回避する。そのさいに「彼ら」は開発チームの代表であるディアドラ・ヒルゼンを精神支配によって走狗としているが、ディアドラがウェンディの孫だったというのは偶然なのだろうか。〈たまたま孫だった〉というのは考えにくいので、ディアドラが惑星開発の仕事に携わったこと、クランベールにやってきたことも含めて「彼ら」のコントロールによるものだったのだろう、と「ディアドラ」のページでは書いたが、「月」を動かずしてクランベールならともかく何光年何十光年の彼方まで精神コントロールを行うことはさしもの「彼ら」とはいえど難しいようにも思える。

 ウェンディは家庭的には恵まれなかったとあり、その原因なのか結果なのか仕事に一途に打ち込んでいたようだが、その「仕事」も「彼ら」に出会ってあっさりと放棄してしまった。女性の提督は珍しいというから、それが仕事の上での居心地悪さに繋がっていったのかも?

 

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