キャプテン・タカニ

 

 『クランベールの月』登場。惑星クランベール開発チームの一員で、警備部門の責任者(隊長)。ベテランらしい落ち着きとリーダーシップがあり、部下からもチーム全体からも頼られ慕われている。ロックが「豆の木」とコンタクトしたことに気づくくらいで頭の回転が速く、ロックがエスパーと知っても特に恐れることもなく態度も変えなかった。そういう人だからロックも信頼を寄せたのだろう。結果、ほぼ最初から最後までロックと共闘することとなった。

 これだけ頭のいい人が、「豆の木」が生態系の中で浮いている、不自然な存在だと訝りながらも「考えるのは おれたちの仕事じゃない・・・」と思考停止してしまう。この〈不思議なことを突き詰めて考えず思考停止してしまう〉癖はキャプテンだけでなく登場人物みなに共通していて、後にこれが「豆の木」(というか背後にいる「彼ら」)による一種の洗脳だったことが明かされるわけだが、逆から見れば「洗脳」を受けていながらも〈疑問に感じる〉ところまではいけるというのは、それだけキャプテンが高い知性と意志の力を有している証拠とも言える。

 開発チームの面々が終わりの見えない開発任務の中で精神的に安定していられたのは上述の「洗脳」のおかげだったのだが、ラストでその洗脳が解けたあともキャプテンも他のメンバーも「このところずっと落ち着いてる」「中には混乱してるやつもいるけど なんかこう 「目が覚めた」って感じ」と洗脳中と変わらず、むしろ当時以上に安定している。もともと精神力の強い人間がメンバーに選ばれていたからだろうが・・・。そうした「精神力の強い人間」の筆頭がキャプテン・タカニだという気がするのである。

 

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