『ソング・オブ・アース』

主なキャラクター:ロックモールジャック、ダム、ビアーク大尉、フリーダ、トレス

 

 海賊「ライトフット」ことジャックとダムの二人組は、地球にある遺棄された研究所で生体コンピューターを持つ宇宙船「マウス」を手に入れる。一方近くの村落の少年モールは、助けを求める謎の声を聞き、声の主を捜しに出たところを狼に襲われる。彼自身は通りすがりのロックに救われるが、モールを助けようとした祖父が犠牲となってしまう。

 一人ぼっちになったモールは隣家に引き取られるがどうしても声≠フことが忘れられずに家出、再び危機を救ってくれたロックも声の主を捜していると知って無理やり同行する。そのころ「マウス」のおかげで海賊行為が楽になりすぎたのを嫌ったジャックは、スリルを求めて惑星を襲い街を一つ壊滅させる。事態を重く見た帝国はエスパー部隊に召集をかける・・・。


 トレスがあまりにも意外な形で再登場。ジャックもダムも「マウス」の正体(?)が元銀河帝国皇帝と知ったらさぞたまげただろう。ところで初見のときは、反帝国組織SOE(ソング・オブ・アース)が物語に初登場するのは次作(『失われた翼』)なのにもかかわらず、SOEの登場しないこのエピソードになぜか「ソング・オブ・アース(大地の歌)」というタイトルが付いてるのが不思議だったのだが、『書を守る者』を読んで〈SOEの母胎となった研究所が地球にあった〉ことを知ったあとにこの作品を読み返して、すでにSOEの影が示唆されているのに気づいて驚いた。

 すなわち、いかにも善良そうな隣家のイシド氏が、モール失踪のさいに反帝国活動家めいた会話を通信機を通じて行っている場面である。このシーン、長らく何の説明もなかっただけにその違和感が引っ掛かってたのだが、思えば彼は当時の研究所関係者の子孫だったわけだ。おそらく今も平穏な暮らしの一方でSOEの一員として動いているのだろう。それにしても『ソング・オブ・アース』はヒットコミックス版で22巻、『書を守る者』は31巻だから、何とも遠大な伏線である。こうしたスケールの大きさがロックの醍醐味なんだよなあ。

 しかしリートはフラク・フロニ公のヨットのコンピューターを「50年くらい昔のもの」と言っていたが、カル・ダームT世の「反乱」は50年前どころの話ではないはずである。・・・リートの鑑定もあてにならんな(笑)。ロックは比較的冷静にコンピューターの記録を見ていたが、息子同然だったフラクの最期にまつわる映像は辛かったろう。そういえばロックは何であのコンピューターに興味を持ったんだろう?

 それにしてもモールの家の近隣ときたら、ヘンシェル社が違法の宇宙船(「マウス」)を隠したり、その後戦時中にN弾の投下?によって廃墟となったり、帝国の内乱でフラク・フロニ公がトレスを「マウス」に隠したり、その山向こうにはカル・ダームU世が研究所を作ったり・・・。銀河の影の歴史を担っている地域と言えるかもしれない。さすがは人類発祥の地である。

 

 

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