『書を守る者』

主なキャラクター:ロッククーガー、カルダームU世、カルダームV世、ウーノット大佐、バーノール、ルパート、ヤール将軍

 

 正体不明の「書を守る者」を捜して旅するロックとクーガー。途中、白紙のはずの“オーリック家の記録”がクーガーには読めることが判明。そこにはカルダームU世とその息子V世による銀河コンピューターへの疑惑が記されていた。銀河コンピューターが自身の意思をもっているらしいこと、銀河コンピューターへの依存度の高さに気付いたカルダームU世が銀河コンピューターなしで帝国を維持する方法を求めて密かに地球にSOEの母体となった研究所を作ったこと、また父の死後カルダームV世は帝国が実質的には銀河コンピューターに支配されているという恐怖からある計画を立てたこと――。

 一方、ロックとクーガーは、惑星ドラムがまるごと巨大コンピューターに作りかえられたことを知るが、その直後帝国の対エスパー兵器「Eバスター」の攻撃を受ける。何とか大事を避けた二人は、ドラム建造計画を調べるため「ラスカンボーレン」の帝国基地にESP抜きで潜入するのだが・・・。


 今回はロック&クーガーの名コンビの活躍ぶりと、なかば忘れられていた「オーリック家の記録」の再登場によって劇的にこれまでの謎が明かされてゆくカタルシスを味わえる、いわば年代記もの・謎解きもの・アクション・コメディがミックスされた実においしいエピソード。

 特に後半の基地潜入は「ESPなしで」というハンディをものともしないロックの有能っぷりが堪能できる。正反対にてんで情けないクーガーはクーガーでめちゃくちゃ可愛いし(「デートの約束をして・・・」だもんなあ)。『赤いサーペント』と比べると別人のように表情もコミカルで生き生きしてて、ここでクーガーファンが一気に増えたんじゃないでしょうか。

 その一方でロックの胸の内も明かされている。この「書を守る者」に関する件(『黄金の牙』以降のエピソード群)でロックがいつになく積極的に動いているのはSOEつながりもなくはないだろうが、「罪もない何十万もの人をこの手で殺した」(直接的には『超人の死』でマスターバルカンのためにたびたび超能力の暴走を引き起こしたことを差しているのだろう)ことを背負い続けてるからなのだと思う。だからこそ、ダークライオンに無理やり催眠クリスタルを使ったりリュカーンを道具よばわりしたり、マスターバルカンと同じ根っこを持つ「書を守る者」のクローンには容赦なくなる局面が多いような。

 今回ついに「書を守る者」の正体が明らかになったわけだが、つまるところこの一連の戦いは帝国内での皇帝と銀河コンピューターの覇権争いであったわけだ。なにせSOEさえもともとはカルダームU世が作ったのだし、「書を守る者」はなんとカルダームV世その人だったというのだから。いわば帝国は自壊したようなものだ(実はある人物が裏にいるんじゃないかと勘ぐったりしているのだが、それについてはいずれまた)。

 ところで「帝国軍と地元警察は仲が悪い」というのは、『赤いサーペント』でリオラが起こした事件が軍に知らされなかったあたりにもあらわれていた。古くは『ロード・レオン』でもレオンを捕らえた地元警察がレオンを引き取りに来た連邦軍に腹を立てる場面があるので、いつの時代にも共通の問題なんでしょう。思えば現代だってそうだし。

 

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