シーナ

 

 『妖精の森』登場。「共振樹」の森に一人暮らしていて、共振樹と「話す」能力を持つエスパー。「妖精」という表現が相応しい汚れない少女。人里離れた環境で育ち極端に世間知らず、ゆえに純粋無垢でロックを救うために命を落とす、というと『赤いサーペント』のリオラを思い出すが、(外見を見るかぎり)リオラよりさらに幼いだけにより哀れさがつのる。

 ところでシーナは本当にハルマニー博士の娘なのだろうか。つまり実際に自分の遺伝子を使って実験を行ったのか、それとも実験体を名目上娘ということにしたのか。後者の場合は彼女を手懐けることでスムーズに今後の実験を行いたいという意図が感じられる。つまりシーナが無事生まれ「共振樹」と「話せる」能力を持っているのがわかった段階で実験成功→終了ではなく、共振樹とエスパーの融合体である彼女を使ってさらなる研究を進めたかったのではないか。しかしその研究は博士の死によって頓挫し、実験体であるシーナは一人残された・・・。

 しかしそうなるとシーナが研究施設とはほど遠いあんな小屋で暮らしているのが解せない。デイビーを除けば機械らしい物もないあの小屋はとてもデータを取るには適さないだろう。それとも共振樹の森のただ中にあり実は博士の助手であるデイビーが近くにいるあの場所はああ見えてシーナを使った実験には最良の環境だったのか。

 いずれにせよ博士の研究は博士自身の死によって頓挫したとおぼしい。後を引き継ぐ研究者もいなかったようで(おそらく博士はこの星の出身で、異常に植物が繁殖してしまう環境下で人間が自然と共存できる方法を模索した結果が〈エスパーと共振樹の融合体を作る〉研究に発展したんじゃないか。したがって他の星出身の研究者にはあまり理解されにくい、やる意義もない研究内容だったのだろう)、結果実験体のシーナはそのまま放置されることになった。しかしデイビーの最後の台詞からすると、彼はシーナをその最期まで見守る使命を与えられていたらしい。自分の死後必要なくなった実験体を処分するのでなく、放置といっても全く見捨てるのではなく、彼女にとって居心地のよい環境の中で最後まで面倒を見るように助手ロポットに指示を与えていったハルマニー博士は、実の娘であったにしろそうでなかったにしろ、シーナに〈父親〉として一応の責任と愛情を抱いていたように思えるのである。

 

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