ラウア

 

 『夢使い〜DREAM MASTER〜』登場。ラフノールの高僧「ドリームマスター」の一人。ドリームマスターは「現実以上にリアルな 幻覚を創り出す」能力を持つそうで、特にラウアの場合は相手の願望を体験させることができるという。しかしラウアはこの能力を暗殺請け負いなどに使っているようだが、それが高僧のやることなのかと(苦笑)。本来のドリームマスターはその能力をどういう方面に役立てていたんだろう。

 ラフノールといえば、『クロノスの罠』でもラフノール関係者らしい老人とその相棒がロックの命を狙いに来たが(ロックに返り討ちにあって自分が夢の世界に閉じ込められたっぽいラストも似ている)、三話先のエピソードである『魔術師の鏡』でも司祭長オルタート以下のラフラールたちはロックを騙して集中攻撃を食らわせたりしていた。彼らの本命の敵は銀河コンピューターであって、ロックはそれを破壊する妨げとなるから襲った感じではあったが、ラフノール消滅に関してロックを逆恨みしてたのも確か。最近作の『ラフラール』といい、ロック相当ラフノール人全般から恨みを買っているのか。

 もっともラウアの場合ラフノール人としてロックに恨みがあるからというより、ロックに夢をかける契約をしたことがすでに知れ渡っているのに、偽者に引っかかって失敗したままなんて自分のプライドが許さないという、彼なりの誇りと職業倫理のゆえにロックを付け狙ったようだ。結果ロックを殺すことこそが彼の悲願、彼の夢になってしまった。ゆえに〈ロックを殺すことに成功した夢〉に囚われてしまったわけだが。しかしロックも自分を殺すのを切望している男に自分が殺された夢を見せてやるというのも複雑な心境だったろう。まあロックを殺したがってる奴なんて山のようにいるわけで、慣れてるといえば慣れてるだろうけど。

 ロックを〈殺した〉あとに素顔に戻って意気揚々と外へ出て行くラウアは、吹雪だったはずの外の光景が夕日に照らされたひび割れた大地に変わっている不自然さにも気づかない。ロックの心象風景が花咲き乱れる野原だったのに対しラウアは不毛の荒野というのが彼の精神性を象徴してるようで興味深い対比だが、その不毛の大地に立って輝く夕日の下、両手を掲げて勝利を満喫するラウアの姿は、(彼の脳内の幻想に過ぎないとわかっていても)不思議と一個の英雄のように見える。救急隊が「幸せそうな顔してますよ」と言っているように、彼は確かに今人生で最高に幸せなのだろう。逆に救急隊に運ばれていくラウアを見送り、一人吹雪の中に消えていくロックの方がずっと孤独に見える。きっと彼はラウアがロックの中に見た「夢」を自分自身でも見たのであろうから。「夢」に身を委ねればラウアのように幸せになれるとわかったうえで、今後ともラウアのような輩に狙われ続ける長い長い人生にまた踏み出していく。夢の内容とそれを選びとらないこと、ラウアの幸せそうな顔を思い出すにつけ、二重にロックの孤独がにじみ出してくるのだった。

 

 

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