キャプテン・ニムバス

 

 『ニンバスと負の世界』『この宇宙に愛を』登場。「ニンバス」「ニムバス」二つの表記があるが、基本的には「ニムバス」が多い。宇宙船スカイシャークを駆る宇宙海賊。惑星ピナを消失させた犯人「オメガ」の正体であり、強力なエスパーであり、「宇宙の根本原理を解明した」ことによって不死の生命を手に入れた天才科学者でもあるという、ライガー教授以上の超マルチ人間。

 『ニンバスと負の世界』では(『この宇宙に愛を』ではさらに)さほど出番は多くないのだが、海賊のくせに紳士的な態度やいちいち気障な仕草やそれらが違和感なくはまる二枚目ぶりのおかげもあって強い印象を残す。だから後に「オメガ」の正体として再登場した際にも、さほど意外ではないものの相応のインパクトはあるし、ラスボスに相応しい大物感を感じさせる。

 それだけに『この宇宙に愛を』で実はコンピューター「オメガ」の傀儡にすぎなかったと明かされたときは肩すかしというか、結構ながっかり感があった。増殖機能を持つコンピューターが主人たるべき人間を逆に奴隷にしてしまうという展開は、後に描かれた銀河コンピューターや「ドラム」を彷彿とさせるが、「オメガ」ほどのコンピューターを設計し、早くも20世紀中に不老不死を実現したほどの人物が、コンピューターの自己増殖の可能性に気づかない、何の防止策も取っていないものだろうか、とちょっと疑問。聖先生にしても不完全燃焼感があったのか、この「実はニムバスが傀儡にすぎなかったことの残念さ」「オメガの自己増殖を防止できなかったのか」については後に『ニムバス〜』『この宇宙〜』がリメイクされた(『ソード・オブ・ネメシス』『オメガ』)さいに大きく手が入れられることになる――。

 ところでニムバスが「オメガ」の支配下に置かれるようになったのは三度目の脳再生の時で、ニムバスが海賊を組織したのも子供の姿でニーナなどをスカウトしたのも「オメガ」の裁量だったそうだが、「私の研究の中で 最もすばらしい」「負の世界」を造ったのも100%「オメガ」だったのか、多少は元のニムバスのうちに造りはじめていたのか。三度目の脳再生までに200〜300年くらい経ってそうだから、不老不死を可能にできるほどの科学者なら端緒だけでも、と思うが、すでに「オメガ」の奴隷と化した後のニムバスが「私の造った負の世界」と言っているので、やはり完全に「オメガ」の作品である可能性が高そうだ。・・・なんかニムバス自身がやったことより、ニムバスを操って「オメガ」が行ったことの方が多そうなのが少し寂しい。かつての科学者ニムバス(ニムバスという名は「オメガ」がつけたらしいので当時は別の名だったはずだが)は海賊も組織してないし、人類を脅かすような「負の世界」を生み出したりもしなかった、つまりはとりたてて反社会的なところのない善人だった可能性もある、と考えれば喜ばしいことのようでもあるが。

 余談ながらニムバスが(『ニンバスと負の世界』の時点より)1500年前に生まれたと語ったときロックがえらく驚愕しているが、ロック自身だって同じくらい生きてるんじゃあ?自分以外にこんな長生きな人間がいると思わなかったからああも驚いたのか?まあ『ニンバス〜』が描かれた時点ではまだロックの不老不死設定はなかったらしいので(銀河を揺るがすような大事件に何度も遭遇するには何百年も生きていないとおかしい、ということで自然と長寿の設定になっていったようだ)、普通に人間が1000年以上も生きられることに対して素直に驚いたということなんだろう。しかしニムバスは「千五百年前」と言っているのにロックが「1516年前!?」といやに具体的数字を出しているのはなんなのか。肉筆回覧誌から単行本化された際の加筆修正の時に片方直し忘れたのかな?

 

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