ニア

 

 『新世界戦隊』『光の剣』『アウター・プラネット』『スターゲイザー』『ミラーリング』登場(『ライザ』のニアはあえて数えない)。ロスト・コロニー「ラフノール」の王女、のち女王、その後司祭(祭司)長。

 グルン・ベルクの反乱で外の世界に逃れ、行く当てもなく浮浪児をやってた(たぶん)折、「皇帝計画」に巻きこまれ、そこで知り合ったロック、ランと共同生活をいとなむ。グルン・ベルクの刺客に襲われたのをきっかけにラフノールに戻ってグルン・ベルクを倒し、ランと結婚、女王となる。

 はじめて『光の剣』を読んだとき、ランがニアを助け告白するシーンに感動しつつも、それまでランをさんざん子供扱いにしていてむしろロックに気がありげだった彼女が、急にランに気を移すというのが・・・。「助けてくれたから好きになったんかい。ならランじゃなくてもよかったわけ?」と子供心にちょっと不満だった(今は「それはそれでアリだよなー」と思うけど)。

 しかし「見ないで ラン 見ないで・・・」というセリフ(心の声)のところを読み返して、ニアはけっこう前からランを好きだったんじゃないかと思い直した。「死人ごけ」にやられた醜い姿を、彼女はランに見られたくなかった。あのときそばにはロックだっていたはずなのに。彼女にとって絶対に見られたくなかった、嫌われたくなかったのはランの方だったのだ。

 そもそもESPを封じられてテレパシーが使えないニアの〈声〉をランが聞けたのも(ロックは彼女の気配を感じ取れなかった)、彼女の心がそれだけ強くランに呼びかけていたからだろう(もっともロックとヴェルト・ニムがあの場にいたのは彼らにもニアの声が聞こえたからかもしれないけど)。

 ニアは元来生真面目で責任感が強く、そのぶん素直に弱音をはいたり甘えたりできない傾向がある。『光の剣』では王女としての自覚がそれに拍車をかけているようだ(『ミラーリング』ではまだしも、ロックに泣きついたり、「へでもないわ!」などというお姫さまらしからぬ品のない台詞も出てくる。ちなみに『新世界戦隊』での男言葉は身を守る必要性からだと思う)。

 ランに対するきつい言動はそのストレスの反動だろう。言うなれば屈折した甘えである。それだけニアにとってランは気を許せる存在だったということだ。ロックにだけ「ずっとこの星に・・・・・・・・・いてくれる?」と尋ね、ランには何も言わないのも、彼がそばにいるのが当たり前になっていたからではないか。

 それが「死人ごけ」を植えつけられ幽閉されたとき、何を言っても何をしてもランが決して自分を嫌ったりしないことを確信してただろう彼女は、初めて彼を失う可能性を想起し、その恐怖とともに自分にとって誰が一番大切な存在かに気づいたのではないか(先にあげた「ずっとこの星に――」という台詞に対し、ロックは「ぼくに・・・できることが あれば・・・ね・・・」と答えている。ロックは気づいてたんだなあ)。

 ラストシーン、連邦がラフノールを見つけるかもしれない、という状況で、ニアはランに「前の私だったら・・・たぶん逃げ出してたでしょうね」と静かに言う。以前ロックに「連邦に認めさせるわ ラフノールも!超能力も!」と目論見のない強がりを言っていたニアは、ランを頼るにたる男として認めることで、ようやく素直に自分の弱さを出せるようになったのだ。

 こんな彼女は、なんだかかわいい女性だなあと思う。ランとペアで『ロック』で一番好きなカップルである。とくに『アウタープラネット』。ここでのニアはほんとにランのことしか見えてない感じで、いじらしいんだがその分視野は狭くなっている。ランとロックが無事に帰ってきても、はっきりいってランのことしか気にしていない。恋心とは残酷なものだ(笑)。『スター・ゲイザー』では堂々たる貫禄とリーダーシップを見せてくれますが。

 いいかげん長くなったので、『ミラーリング』でのほとんど母と息子のような関係から夫婦に至るまでのニアの感情の変遷は、いずれ項を改めてやる予定。

 

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