ベロニカ・モーグ

 

 『ロストコロニー』登場。ラフノールに漂着した移民船の機関長。不時着前、崩壊したエンジンを宇宙に投棄するさいに殉職。中から投棄作業を行う人間が必要だからと自ら死地に残った勇気と責任感のある女性。それだけにロドス艦長からの信頼も厚かったものと思われる。

 死の直前に感覚だけが加速する特殊な超能力に目覚め、投棄したエンジンが爆発し肉体が滅ぶまでの数秒程度の間に、精神だけが(肉体のいる時点から見れば未来の)ラフノールに飛び、ロドス艦長に危険を警告したりこの星で生き抜くためにエスパーを生み育てることの重要性を知らせたりするのだが、彼女のこの能力の理屈がよく理解できない。感覚だけが加速した結果回りの時間(爆発の進行)が緩やかに感じられるのはわかるが、死の瞬間をじわじわと引き伸ばされるだけでなく、精神が宇宙を漂う機関室を離れて数日先のラフノールに至ることができたというのが・・・。

 精神の加速だけなら周囲の状況を変えることもまして別の場所にゆくこともできないはずである。肉体と時間間隔が掛け離れてしまった精神が身体を離れて、いわば幽体離脱状態で爆発で身体が吹き飛び消滅するまでの時間―精神にとっては数日間に匹敵する長さ―を好きな場所へ移動して過ごすことが可能だったということだろうか。どうせなら精神だけでなく肉体も移動可能な力=テレポートにでも目覚めていれば死なずにすんだというのに(泣)。

 本人は再びロドス艦長に会い、彼の危機を救い、ちゃんとお別れ&愛の告白もできた(普段は名字や役職で呼んでいる相手をここぞの場面で名前呼びするのは『ロック』世界的には愛情の表明と見ていい。『ミラーリング』のエイブル→グラントの名前呼びも(相手に対してというより読者に対してだが)グラントへの愛情を匂わせるものだった)ので後悔はなかったろうが。

 ところでニアの父ロドス王はその名前からいって当然ロドス艦長の子孫であろうが、おそらくモーグ機関長の血も引いていることと思われる。つまりはロドス艦長が人工子宮により優先的にモーグ機関長の遺伝子を継ぐ子供たちを生み出したうち、ロドス艦長の精子と掛け合わされた子供の一人の血筋、ということである。この二人の血を引く者はエスパー、それも優秀なエスパーになる可能性が高そうだし、もともとあの過酷な星で生き延びるために超能力者を増やそうとした以上とりわけ強い能力を持つエスパーにリーダーの座=王位を渡したと推定できるからだ。となればニアはモーグ機関長の子孫でもあるわけで――そういや心なし顔立ちが似てる気がしないでもない。

 

 

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