ミール

 

 『不死者たち』登場。連邦軍情報部部長、階級は大佐。15年ぶりに動き出したフォン・ノイマンに接触しその行動を牽制すべく、ハントにノイマン捜しを依頼する。

 フォン・ノイマンを止めるという目的のために惑星トソールにジオイド弾を落とそうとする、ハントの言葉を借りるなら「たったひとりの化物のために!なんにも知らない2百万もの人間を殺」そうとする彼のやり口には驚かされる。それもハントを引っ張りだすための脅しではなく本当にジオイド弾を投下したのだから。かつて『星を支配する者』でロックを人工エスパー退治に引っ張りだした連邦軍長官(?)もロックがテオドラキス博士を4日以内に倒せなければ惑星オプタを星ごと破壊すると脅しをかけそれを実行しようとしていたが、この人の場合まだしも真に人工エスパーの流出による銀河系の混乱、全銀河規模での争乱を防ぐための行動であるらしかったのに、ミール大佐の場合はつまるところ自身が不老不死になりたいがため、自分の野望のために2百万人の命を天秤にかけたのだからひどい。フォン・ノイマン曰く「なんて奴だ」。確かにノイマンはまだしも全人類を不老不死にすることで「真に恒久的な 平等と平和が実現する」ことを目指す、本人的には公共の福祉のために行動していたわけで、私利私欲のためには大量殺人を躊躇わなかったミールの方がはるかに悪質と言える。こんな男が連邦軍の高官だとは、連邦も堕落したものだ。現場の人間─フォン・ノイマンの人類不死者化計画を知って「人類の90%を殺すってことじゃないの!」と激怒したセラフィムや、ジオイド弾が発射モードに入ったと知って、「下の星には2百万もの人間がいるんだぞ!?」と顔色を変えた封鎖艦隊旗艦の艦長?とオペレーターがまともな神経の持ち主だというのがまだしも救いである。

 もっともいかに彼らがまともだったとはいえジオイド弾を止める役には全く立たなかった。実際にジオイド弾を無力化してトソールを救ったのは、かつて『マインド・バスター』でも複数の惑星に打ち込まれたジオイド弾を一発でも防ぐべく戦ったロックだった。あの時ロックがいくつの爆弾を止めいくつの惑星を救い得たのかは不明だが、今回は打ち込まれたのが一発のみ(惑星の核を直接破壊する特性上一発で十分だから)だったおかげで無事トソールを無傷で救うことができた。そう思うと〈不老不死を自分の目で確かめたい〉ためにハントに事件を依頼し、ロックも呼び寄せてしまったのがミールにとっては裏目に出たとも言える。

 さらに驚かされたのがフォン・ノイマンに渡されたDNAのサンプルをあっさり自分の体で試したこと。コンピューターに検査させてデータとサンプルが一致したといっても、「妙なものをつかま」された可能性も念頭にあったようなのに。自分が不死者化に成功してジオイド弾発射を止めるパスワードを入力しない限り星は吹き飛ぶわけで、確かに復讐は果たせるだろうが自分が死ぬことには違いないだろうに。見た目からして大分高齢なので、あと数年の寿命なら不死者化に賭けてみようと考えたものか。なまじハントを見て、「不完全」な同化体である彼を基準に「不死者」の在り様を判断してしまったのもあるかもしれない。ハントがフォン・ノイマンみたいに、ぐにぐにになることができてそれを目撃していたなら、いかに不死身でもあんな体になりたいとは思わなかったかもなあ。

 

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