『マインド・バスター』
主なキャラクター:ロック、ナガト、ライガー、メック、ラグ、レマ
姿を変えて鉱山で働いていたロックはエスパー・ナガトからインナークロスに強引に勧誘され、インナークロスの親玉ライガー教授に引き合わされる。ライガーは連邦と独立を目指す惑星の間の確執による恒星間全面戦争の危機と、宇宙船をなくすことで戦争を回避できることとを説く。衝撃を受けたロックはインナークロスのエスパー部隊に参加し連邦の艦隊を襲撃するが、乗員の命を省みない彼らのやり方に反発し袂を分かつ。
ロックは穏便な方法で戦争を止めるためラフノールのエスパーの力を借りようとするが、ラグとレマから連邦の軍事拠点となった今のラフノールにはエスパーがいないことを知らされる。ちょうどそこへ反乱軍によって惑星破壊兵器・ジオイド弾が投下される・・・
とにかくヘビーな展開。とくにラフノールが分解するシーンは(『ロック』の舞台の中でももっとも印象深い星だっただけに)ショッキングである。ロックはこのときと『虚空の戦場』と、ラグとレマの〈死〉を二回経験してるんだよなあ・・・(しかも二度目は生きてたと知ってまもなく)。ウォン博士が設計したジオイド弾がこれまで製造されなかったのは、あまりの破壊力ゆえ人道上ためらった、ということなのだろうか。
「人類を助けるためには・・・な こうするしかなかった」というライガー教授の〈大の虫を生かすために小の虫を殺す〉考え方は、たとえば『冬の惑星』のアルフレッド・クラウスにも共通する。戦争を阻止するためにはある程度の犠牲はやむを得ないと考えるナガトも、〈ある程度〉のレベルが違うだけで発想自体はライガーと同じなのだ。
上に立つ(立とうとする)人間にはマクロな視点が必要であり、部分を切り捨てても全体を守ろうとするのは必然だろう。しかしロックは誰をも切り捨てられない。それがロックの魅力でもあり弱さでもある。その彼がインナークロスに参加したのは銀河系の行く末への危機感が強かったためとはいえ、やはり気の迷いだという気がする。友人がらみじゃないとなかなか動かないロックをテロ集団に引き込んだライガー教授、恐るべし。
「まにあうかもしれない」(スコラ版では「もし1発でも 止めることができれば 何億という人が助かるんだ ぼくはいくよ」)と一言残してロックがジオイド弾に向かっていくところで物語はプツンと切れる。結果不明の、かすかな希望だけを表したラストが余韻を残す。
――余談だがジオイド弾について報告していた連邦の軍人さんがなかなか好きである。忠誠心厚い真面目人間という感じで。苦悩の色濃くジオイド弾の恐怖を語っていた彼は、やはり生きのびなかったろうなあ。
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