アコ・メディオス

 

 反エスパー同盟の盟主。生まれつきESP因子を持たない特異体質(本人いわく「純粋種」)で、ゆえにエスパーに心を読まれることがないが、純粋種の宿命として重度の身体障害を抱えている。下半身が機械に覆われているのみならずその機械から上半身にも何本もコードが延びているから、下半身不随というだけでなく、上半身(内臓?)にも及ぶ障害を機械の補助でコントロールしているのだろうか。

 なぜ彼はエスパー消去計画をジュナンで行ったのか。まず当時の文化圏から見て辺境に位置する―それだけ連邦やΣセクションの目が届きにくい―ために隠密裏に計画を進めやすかったことがあげられるだろう。そしてアコの影武者である弟がジュナンの議員であること、つまりいとこのフレアも含めたメディオス一族がジュナンに根を下ろしているらしいこと。障害のゆえか「外に出ることができない」というアコがあの隠居用の島を根城に選んだのは、島から遠くない土地の出身、つまりジュナン出身だということを示唆している。

(余談ながらこの弟もゼビイと呼ばれている部下の青年もとくに障害をもっているようには見えない。彼らもああ見えて純粋種なのか、ふつうの人間だが血縁その他の絆に引かされてアコの手伝いをしているのか。アコは「仲間は私の身内3人」と言っているので身内=家族と取るならゼビイも血縁関係があることになるが、常にアコに敬語だったり警察に自首するよう言われたときの反応もわりと淡白なんだよなー)

 といっても何代も前からこの星に住んでいたわけではない。さかのぼってもせいぜい祖父母の代に移住してきたというところだろう。なぜかといえば100年前にエルムエル博士らがジュナンの極寒地帯に着陸したさいにジュナンの調査・観測を行っているが、結果は「ここから八千キロ四方はまったくここと同じかもっとひどい」「観測の結果この星は 半分以上が高山地帯その又半分が ここのような気象条件であるとわかりました」。この時点でロックたちが最初に降り立ったような都市が存在していれば、このときに発見されてテレポーターが時間をかけても救助を求めに行ったはずだから、ジュナンの開発はそれ以降、遭難船のメンバーがおよそ死に絶えた後になって始まったのだろう(都市部こそ立派だが植民が始まってからの歴史が浅いからまだ寒冷地帯までは開発の手が及んでいない、ゆえにジュナの存在もずっと発見されずにきたと推察される)。

 それにしても、メディオスファミリーがジュナン出身なら、こちらで「ジュナンはエスパーを殺す菌の前駆体の存在する環境であると同時に、その菌の天敵も生み出し得る環境でもあった」と書いたが、「P96」と第三波動を操るミュータントに加え「P96」を発見し手を加えた「純粋種」までもがジュナンの産だったということになる(グリップはジュナンの人間ではないので純粋種すべてがジュナン人というわけではないが)。そしてアコは外に出られない体であり、マイナス160度の環境に特化していたジュナも、そのままでは〈外〉の環境に適応できなかった。「P96」も一部は宇宙船でジュナンの外に持ち出されたが、よその星にばらまかれる前にロックの手によって消滅させられた。惑星ジュナンの環境下に生まれた三者がいずれもジュナンの外では生き延びられない運命だった、生き延びたジュナの場合も一度死んで体の形質を変えなければならなかったというのが興味深い符合である。

 

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