ラン・スヴェンセン(ロドス・モルク・ラン)

 

 『新世界戦隊』『光の剣』『アウター・プラネット』『スター・ゲイザー』『ミラーリング』登場。コンピューターエンジニアリングの天才少年。強い潜在能力を持つエスパー。金髪碧眼(イラストによって多少バリエーションあり。青い髪なんてのも)と「スヴェンセン」という姓からすると北欧系か(もっとも混血の進んだ時代だろうからあまり意味はないな)。

 14才当時、連邦の太陽系星区行政システム技師。「皇帝計画」失敗によりエレナを失い、そのショックで幼時退行、ロック、ニアとともに暮らす。『ミラーリング』事件をきっかけに記憶と正気を取り戻す。その後片思いが実ってニアと結婚、100年ほどの長きにわたり、ラフノールをともに治める。

 『新世界戦隊』『ミラーリング』『光の剣』と別人のような変化を見せるが、一途な、悪くいえば思いこみの強い性格は共通している。「ニアのためならなんだってやる!」と言いきるのも、エレナのために2万人のエスパーを消去することをためらわなかったのも、愛する者に対する盲目的な一途さから出ている。

 こう書くと単純直情型のように見えるが、本来彼は頭の回転が速く洞察力に優れた、合理的思考の持ち主である(『新世界戦隊』『アウター・プラネット』によくそれが表れている)。ただしばしばその判断力が人一倍豊かな感情に流されがちなだけだ(・・・って同じことか)。

 『新世界戦隊』でも、それほど目だたないがやはりけっこう非合理的なことをやっている。長官への復讐はまさにそう。エレナは「彼女はすでにわたしたちにとって何の利用価値もないわ・・・ 消去すべきだと思うけど・・・・・・」と意見を述べているが、ランとしては「じっくりと苦しめ」なければ気がおさまらなかったようだ。合理性を愛しながら本人は多分に非合理なランは、エレナにとってなかなか理解しづらい(努力はしても)ものがあったろう。

 もちろん『新世界戦隊』とそれ以降で変わった部分も大きい。『新世界戦隊』でのランは大人びて見えるが、その実存外精神的には脆い。頭は良いが、ひどく幼児的な部分がある。彼がエレナに望んだ「(彼の)すべてを理解し受け入れること」というのも、母親の無制限の愛情を求める子供を思わせる。

 だからこそエレナが〈死んだ〉とき、彼は幼時退行を起こし、当の仇であるロックに養われるに至るのである。『ミラーリング』の時点でさえ、誰かにニアを殺されたなら、きっと地の果てまで相手を追いつめて血まつりにあげるだろう。それだけ『新世界戦隊』時のランの精神は、脆弱だったといえる。それは彼が愛情、とりわけ母の愛を知らずに育った(であろう)ことと関係している気がする。エレナに〈母〉を求めてしまうのもそれゆえではないか。

 『ミラーリング』で記憶が戻ったときの彼は、当初混乱しながらも現在の性格をベースに過去の記憶と思考を受け入れている感じだ。弱々しく見えてもロックとニアの〈愛情〉のもとで、彼の精神ははるかに頑丈な基盤を持ちえたのである。

 ところでランがニアを愛したのはほとんど〈すりこみ〉だったと思っている。思えばニアはエレナに似ている。聡明で清純で可憐で華奢で・・・。別にランがニアをエレナの身代わりにしてるというのではなく、単に好みのタイプ、という程度の意味だが。幼児退行状態で出会った好みの美少女に、無条件の愛情を注いでしまったというか。

 ただ二人の大きな違いは、ランの分身というべきエレナが〈思い通りになる女〉なのに対して、ニアはこのうえなく〈思い通りにならない女〉だという点。いわゆる〈他者〉であるニアを愛したあたりに(最初はほとんど母子関係だったなりに)彼の成長がうかがえる気がするのである。

 

 

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