『愛しのグィネヴィア』

主なキャラクター:ロックユーリグィネヴィア

 

 アダムス経済専門学園に通うユーリ・トーマスは、学園の首席でサイラム財団総帥の娘でもあるグィネヴィア・サイラムに密かに恋心を抱いていた。ユーリと親しいロックは彼の想いを見抜いて気持ちを打ち明けるようハッパをかけ、直接告白などできないというユーリに手紙を書くよう勧める。

 一方謎めいたロックの存在に興味を持ったグィネヴィアは彼に接触し、それを目撃したユーリはロックもグィネヴィアを好きだと誤解してしまう。そんな折ユーリの目の前でグィネヴィアが誘拐されそうになり、ユーリは必死の覚悟で犯人たちに立ち向かうのだが・・・


 「ふまじめ辞典」の中でも書いたが、学園コメディ版『光の剣』といった趣の物語。高嶺の花というべき美少女に片想いし、彼女とロックの関係を勘ぐったりロックに嫉妬したりするユーリは、ランを彷彿とさせる。彼女を守るためにおよそ勝ち目のなさそうな相手に戦いを挑み、結果彼女といい感じになるところも何となく似ている。

 しかしランが能力・外見とももともとスペックが高かったのに対し、ユーリは本人も認めるように能力・外見とも「ぱっとしない」。ランが実力でグルン・ベルクを倒しニアを助け出したのに対し、ユーリが誘拐犯を倒せたのはあくまでもロックが影から助力してくれたおかげ(ロック以外誰も知らないことだが)。グィネヴィアといい雰囲気になったというのも、これまでは口もきいたことがなかったのが一応友達に昇格したという程度の話で、ラストシーンから遠からず、おそらく数ヶ月のうちに結婚したラン&ニアとはまるで到達点が違う。正直ユーリとグィネヴィアが将来的にカップルになりえた気がしない。サイラム財団は単に大財閥というだけでなく死の商人でもあるらしいことが誘拐犯たちの会話に匂わされており、あのぽやっとしたユーリに娘婿が務まるとは到底思えない・・・。なんだってロックは最終的に報われなさそうな、そして身の危険も多そうな恋に向けて友人の背を押したんだか。

 ところで読者の誰もがツッコまずにいられなかったと思うのだが、ロックは何のために経済専門学校などにいたのだろう?しかも回りの人間に催眠暗示をかけて自分が以前からこの学園の生徒だったように偽装したらしいのがグィネヴィアの独白から察せられるので、わざわざこの学校に潜入しなければならない事情があったらしいのである(ロックはユーリを「友だちに選んだ」のではなく「たまたま気があっただけ」と言っているが、実際のところなるべく目立たないようにするために「ぱっとしない」ユーリを友人に「選んだ」のだろう。あのロックがあまり成績が良くない―わざとそう装ってる―らしいことからいっても)。なのにそんな独白まで入れて、いかにもロックは何か特別な使命を持って学校へ来たように演出しておきながら結局そのへんの事情は何も明かされずに物語は終わってしまう。これまでの伏線は何だったのか!?

 そしてロックの目的は何だったのか。まあ想像をたくましくするなら、グィネヴィアが何者かに狙われるのを危ぶんだサイラム財団がロックにボディガードを依頼したというのが一番ありそうな線だろう。とすれば例の誘拐犯を倒した時点でロックの任務は終了し、遠からず学園を去ったのかもしれない。あるいはグィネヴィアが卒業するまで陰に日向に彼女をガードしたのだろうか。・・・後者だとするとロックと仲の良いユーリがグィネヴィアと付き合うようになれば、ロックも彼女に自然に近付きやすくなるので、そのためにユーリをそそのかしてグィネヴィアに告白させたんじゃ・・・いやいやまさか。

 

 

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