『インフィニット計画』

主なキャラクター:ロック、イリーナ、アラン・ドュパイエ、ロンウォール博士、マクミラン氏、マクミラン夫人

 

 オーストラリア政府が秘密裡に行ったスキャナー(エスパー)発見テストでトップを記録した中学一年生ロック・マクミランは、その力のために各国の情報部に狙われるはめに。そんなロックを北米情報部のアラン・ドュパイエは密かに見守る。おりから中国情報部に誘拐されかけたロックは、スキャナーの女性イリーナ・マルケロフに助けられる。

 ロックに及ぶ危害を案じた政府はロックの養父をガニメデの宇宙開発公団へ出向させる。ガニメデでは初の太陽系外への有人探査船「インフィニット1」建造のプロジェクトが進行中であった。ガニメデの学校の友人と基地をのぞきに行ったロックは、クラスメートの少女ナスターシャが爆弾を仕掛けるのを発見する。彼女はイリーナの返信した姿であった。「インフィニット計画」をつぶそうとする一味に加担するイリーナは、ロックに〈インフィニット1は探査船でなく亜光速ミサイルを積んだ死の船〉だと吹き込み、ロックに「インフィニット1」に爆弾を仕掛けるように依頼する・・・。


 『クロノスの罠』での過去の夢の一つを客観的視点で捉え直した作品。それだけに『クロノスの罠』を読んでないとわかりにくい部分も(ロックがデュパイエ大尉といつ知り合ったかとか)ある。イリーナの真の目的がここで明かされ、『クロノスの罠』で示された善悪の図式が引っくり返るところがミソ。

 この話では結構エスパー(スキャナー)が出てくるのに、のちの『サイバー・ジェノサイド』〜『冬の惑星』ではエスパー不在の時代となってしまう。まあ『コズミック・ゲーム』の最初の方でバレンシュタイン大佐が「500人ほどテストしたがエスパーとよべる代物じゃない」と言っていることや、今回のイリーナの台詞「どうせクズみたいなスキャナーしかいないんでしょ」からすると、大したことないエスパー=スキャナーはいつの時代もコンスタントにいたようでもある。一般に存在を認められていないのは『インフィニット計画』でも同じことだし、どこかの政府がひそかにESP研究所を作ってるなんて噂はあれど超能力がオカルトの域を出ていない現代と同レベルなんではないか。エスパーの存在が公に認識されるのは「超人ロック」の名が一躍知られるようになったディナール戦争から『炎の虎』あたりだろう。

 しかしイリーナの息子が実験材料にされたり、ロックがロンウォール博士に捕らわれそうになるなど、後のエスパー差別の芽はすでにしっかり存在しているようだ。ために強い愛情で結ばれていた育ての両親の記憶を消して旅立つロック。くまさんシャツをトランクにしまったのは思い出の品を持っていくためかと思いきや、トランクごとゴミ箱に捨ててしまう。思い出との決別なのだろう・・・孤独だよなあ。

 

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