『光の剣』

主なキャラクター:ロックランニアグルン・ベルク、ヴェルト・ニム、カルバ・ハン、エルミ、クラウ・ロニ、セルガ・ロニ、エスラ

 

 『新世界戦隊』から数年、惑星オプタでロック、ランと平穏に暮らすニアは、ある日刺客クラウ・ロニに命を狙われる。ロックに救われた彼女は、自分がロスト・コロニー(連邦の登録外の植民星)の王女であること、祭司長グルン・ベルクのクーデターで父を失い、外の世界へ逃れてきたことを語る。直後クラウ・ロニの再度の襲撃で町が壊滅したのをきっかけに、ニアはラフノールに戻ってグルン・ベルクを倒すことを決意、ロックとランも彼女を守るため、ともにラフノールに向かう。

 彼らはラフノールの過酷な自然や、グルン・ベルク配下のエスパーの襲撃に苦しめられつつも旅をつづけ、前祭司長ヴェルト・ニムをはじめとする多くの味方を得て勢力を伸ばしてゆく。彼らはグルン・ベルクのいる聖地・「祖先の島」へ船で向かうが、新たな刺客・殺人鬼エルミによって船を大破、ニアは拉致されてしまう。ニアを救うべくロックたちは「祖先の島」へ総攻撃をかける・・・


 『ロック』シリーズで唯一ファンタジー調(『天空の魔法士』もそうかな)の異色作で、舞台もほぼラフノール一星に限定されている。ファンの間での人気も高い作品。アニメ化・・・されるんでしょうか(笑)。ストーリーは明解だし、映像的にもアニメ向きだと思うのだが。私が〈単なる『ロック』好き〉から〈『ロック』フリーク〉へと脱皮したのは、実にこの作品のせい(より正確にはランのせいというべきか)であった。

 この話は実質的にはランのビルドゥングス・ロマンのように思われる。最初の部分でラン(とニア)があの『新世界戦隊』のラン(とニア)であることをくりかえしアピールしたうえで、『新世界戦隊』とうってかわったコミカルな、感情的な、心優しい現在のランを見せてくれる。

 超能力のレベルも最初は椅子を持ち上げる程度だったのが、ロック対クラウ・ロニ一味の戦いでは、自分の体の何倍もある泥竜(マディサーペント)を頭上はるか高くまで持ち上げている。その後ヴェルト・ニムの指導のもと、彼の力は急成長してゆくことになる。

 いかにも頼りなくてかえってニアに守られてたような彼(ロックも雷竜(サンダードラゴン)に追われたときランの方を助けてたし・・・)がだんだん強くたくましくなってゆくのは読んでて嬉しかったものだ。そしてニアへの一途な思いやネイマに対する情は、「ああ、こいついい奴だなあ」としみじみうなずいたり。

 そしてグルン・ベルクとの戦いとニア救出。完全においしいところを一人じめしている(もっとも『炎の虎』でゼノン公を倒したのはアマゾナ、『魔女の世紀』でレディ・カーンを倒したのはコーネリア、ロード・レオンやストロハイム大佐は自滅・・・とロックが敵の首魁を倒したことってあまりないな)。

 「死人ごけ」に冒されたニアを抱きよせたとき、ランは何を考えていたのだろう?――たぶん〈何も考えてなかった〉ような気がする。ただただ彼女を置いていけなかっただけで。私はここのシーンでランに惚れた。個人的にはメモリアル的作品である。

 

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