ハインズマン

 

 『ソード・オブ・ネメシス』登場。「オルデン」の惑星義勇軍フリゲート「バリアント」の艦長で大佐。短距離HD(ハイパードライブ)を繰り返す独特の航法「ハインズマンステップ」で知られる。隣の星系の惑星「ウド」との戦闘中に艦とともに行方不明に。実は「ハインズマンステップ」中の事故で「なにもない空間」に閉じ込められてしまい、それに無自覚のまま80年を過ごす。ニムバスの手で救いだされるが、外では80年経っていて、家族も友人も全て失ってしまったことに絶望。以後「ラヒブ」と名乗り、ニムバスの艦「ネメシス」の補給・修理などの裏方を請け負う一方、ソニアとアミナの母子を保護(?)する。

 過去の記録によれば勇敢かつ部下思いの軍人というイメージだが、ロックいわくそれは偽造で、「(それにしては)部下や友人や家族の情報が少ない」。つまりはもっと孤独で人間性にも問題があったということだろうか?本人の回想シーンを見ても記録の中の彼と特にギャップはなかったが。まあ80年異空間に閉じ込められてしまったのは誰のせいでもないのに、世界全体への?復讐心に燃え、海賊の手伝いをするようになるくらいだからそこまで人格者だったとは言えないのかも。ただそれは自分の置かれた状況がわかって愕然としているところにニムバスが巧みに付け入ったためであり、だいぶ同情の余地はある。

 ハインズマンについて調べる人間がいないか人を雇って監視し、いたら暗殺する仕組みを作ったのも謎。監視役を担った暗黒街のボス風の男(バルガス)の記憶からすれば監視を命じたのはラヒブ=ハインズマン本人。別にハインズマンの事を調べられたところで〈80年前に死んだオルデンの軍人〉というだけで、ラヒブは日頃素顔を見せていないのだからラヒブとハインズマンを結びつける人間はまずいない。ハインズマンの記録を偽装ではないかと疑ったロックにしたところで、ラヒブの存在を知ったのは自分たちを監視し暗殺しようとした相手を突き止めその記憶を覗いたからである。なまじ監視などさせなければロックはラヒブにも、ソニアとアミナの親子にもたどりつくことはなかったのだ。ヤブヘビというか、やましい所があるため過剰防衛したのが裏目に出た感じである。(ついでにラヒブがバルガスに「キミの前任者は 50年監視を続けていたが何も起きなかった」と言うのも謎。50年前ならまだハインズマンは「なにもない空間」に閉じ込められていたのでは?)

 ニムバスが惑星トルを消したあとヘルガとともに向こうの世界に行ってしまったのち、ニムバスの部下だったジャフィット、「ゴダン」の警備部長ハシェットと組んで、岩を手に入れ向こうの世界を目指そうとするが、彼は結局何がしたかったのだろう?自分たちを捨てたニムバスに真意を問い正したかったジャフィットに比べてハインズマンの動機ははっきりしない。彼にとっては二度と戻りたくないだろう「向こうの世界」に飛び込んでまでニムバスに会おうとした理由は何か。ニムバスを刺した時の台詞からすると、自分が体よくニムバスが既存の世界を消すための道具にさせられてたことに気づき、それに対する復讐だったのか。ニムバスと離れたことで、自分の復讐心が多分にニムバスによって植えつけられ煽られたものだと気づいたのかもしれない。

 

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