ガンダルフ

 

 『聖者の涙』登場。惑星プラタ最大の都市プラタリア最大の麻薬商人。新興の麻薬商パパ・ラス(ロック)を排除しようと殺し屋を送りこむが、かえってパパ・ラスの逆襲に遭い「聖者の涙」で廃人にされる。・・・と見えて実は廃人ぎりぎりの麻薬中毒から治療薬「聖者の涙」のおかげで命拾いし、別人のような好々爺となって穏やかな隠居生活を送るように。

 この人については「聖者の涙」を打たれた前後での変わりようが別人のごとくで、『聖者の涙 Part2』でも書いたように実はロックに体よく洗脳されたのではないかという疑いが拭えない。加えて何より不可解なのがルイーズへの対応である。麻薬商の孫娘でありながらルイーズが麻薬を使っていないのは、素直に考えればディーラーとしても中毒患者としても麻薬の恐ろしさが骨身に沁みているガンダルフがルイーズを麻薬に近づけないよう心を配った結果ということになるだろう。家族を幸せにすべく金儲けに腐心するうちに道を踏み外してしまったという過去からいってもそれなら自然である。

 しかし一方でルイーズはガンダルフの部下のチンピラたちをアゴで使っていたり、何より薬の密売ルートを引き出すためのキーコードを知っていたりした。彼女を麻薬や組織から遠ざけようとしていたならこれは矛盾であろう。自分の孫であるゆえに命を狙われたような場合に、キーコードを知っていることが身を守る切り札になるかもしれないと考えたのだろうか?

 あるいは逆にルイーズを自分の後継者にしようという腹があったのだろうか。いまや唯一の(?)身内であり(少なくとも積極的にガンダルフの仇を取るべく行動を起こしたのは彼女だけである)度胸もいいルイーズに跡目を継がせたい、孫娘を〈幸せにするために〉組織も含めた全財産を残したいと考えたとしてもそれはそれでおかしくない。その場合ルイーズが麻薬を使わないのは、生活に困らないよう莫大な富を産む麻薬組織を譲り渡す気はあっても自分のようなジャンキーにはなるなとガンダルフが固く戒めたためか、あるいは当時のルイーズが麻薬中毒者を「社会に適応する勇気も努力も これっぱかしもない連中」とくず扱いにしていたことを思えば彼女自身が麻薬使用に強い嫌悪感を持っていたためかもしれない。

 ガンダルフはルイーズを組織から遠ざけたかったのか逆に跡取りにするつもりだったのか、作中の描写からはどちらが真実なのか判断がつかない。ただどちらが正しいにせよ、それが孫娘を愛するがゆえの行動だったことだけは確かだろうと思うのである。

 

 

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