高二夏・横浜学院戦

 

高一秋に続いていまや神奈川最強のライバルとなった横浜学院との二度目の対決。前回と違うのは体の頑丈さ・打たれ強さだけを買われた急造捕手の谷津吾朗が、常にレガーズ・マスクなどのキャッチャースタイルで生活する、春のセンバツのさい明訓ナインにべったり密着して詳細なメモを書き記すなどの不断の努力によって、いまや土門の剛球を楽々キャッチできるのみならず、あの山田と対等以上の読み合戦を繰り広げうるまでに成長したこと。
また打者としても三番を打っている。山田に言わせれば吾朗を三番にしなくてはならないほど横学の打線が弱いのだそうですが、そんな山田評を覆すホームランを七回表に放ち、里中の完全試合を見事に阻止してのけた。山田も里中も土門でさえ想像しなかったほどの技量を攻守さらに「読み」において示す。
一年秋の段階ではまだまだ土門一人のチームだった横学ですが、この二年夏の県大会では吾朗こそが横学の要となっている。センバツの間出ずっぱりだったこともあり土門以上に読者にも馴染みのある吾朗が、これまでの愛嬌が嘘のような策士ぶりを示すところがこの試合のキーポイントですね。権左の呪い?のために山田が腕が上がらずスタメンから外れるなんてハンデ必要ないくらいこの夏の横学は強いです。

加えて注目すべきは山田より一歳年長の土門にとってこれが高校生活最後の大会だということ。次の秋には山田と同学年の吾朗は大会に出場できても土門はもういない。つまり土門およびパワーアップした吾朗を擁するベストの横学との戦いはこの二年夏の決勝戦が最初で最後となる(実際二年秋以降、土門引退後の横学は県大会最強ライバルの座をあっさりと失うことになります)。土門や吾朗もそれがわかってるからこそ、甲子園に行きたい、土門を甲子園に行かせたいと力と意地をふりしぼる。あわや明訓敗退かと思われたあのファールチップの場面を頂点とする、明訓・横学双方の主力選手(+土井垣監督)のモノローグを多用しての壮絶な読み合い(剛速球投手の土門がいながら、球威で抑えるのでなく打者の狙い球を探り裏をかく頭脳戦になっているのが面白い)・・・白新戦とはまた別の魅力をもった、『ドカベン』中でベスト5に入る名勝負だと思います。


・土井垣がベンチの山田に「山田どうだざっとみて横学の中でマークするやつは」と尋ねる。「えっ あ・・・はい 里中の力をもってすれば土門さんひとりです ホームランさえ打たれなければ問題ないと思います」。谷津吾朗の急成長を山田でさえまるで気づいていない。センバツの間ずっと自分たちに張り付いて明訓を徹底研究してたのを知っているのに。なまじずっと身近にいたがゆえに半ば身内意識になってしまったのかも。一見おっとりと大人しそうな吾朗はなめられやすいタイプですし。
結局その吾朗にホームランを二本も打たれてしまうことに。まあ里中の力を信頼するがゆえの過小評価と考えると里中ファン的にはちょっと嬉しかったりもします(笑)。

・1回表、明訓はさっそくツーアウトをとって3番吾朗の打席。里中内心「三振ゼロは当てることのうまさを証明し・・・・・・ 2割5分と打率の低いわりに打点が10とはチャンスに強さを示している かまえまで山田とそっくりだ・・・・・・・・・いいバッターになったものだ」。モーションに入りつつちょっと微笑んでる。里中も山田同様センバツの間ずっと近くにいた吾朗に親しみを感じてるようです。
この台詞を見るかぎり、山田より土門より吾朗の実力を一番評価してるのは里中ですね。あくまで自分の方がずっと上という自信に基づいた余裕ある態度という感じですが。

・吾朗内心「里中さんの初球はおそらくストレートでストライクとりだ 初めて対決の相手の場合打者はほとんど球威をみるため初球をみのがす・・・・・・ その心理をズバッと里中さんはついてくる」。山田内心「里中!!吾朗はストレートねらいだ ストレートにヤマをはってるぞカーブを投げろ」。
吾朗果敢に初球攻撃にいくがカーブだったため空振り。山田内心「やるな里中」。この山田発言といい上掲の吾朗の心の声といい、サインは捕手の三太郎でなく里中が出してるらしい。少なくとも7回表の吾朗の打席は里中のサインでしたね。

・『二球目は・・・・・・・・シュートだ これもかすらずツーストライク』。ここで土門がネクストサークルからすっと立ち上がる(三振でチェンジと見越したため)。山田内心「さすがにムリだな吾朗には それでも吾朗を三番にすえる・・・・・・やはり横浜の打線は弱い・・・・・・ 土門さんひとりの守りのチームだ」。
土門内心「吾朗の初三振か・・・・・・・・・ かなり役者がちがう」 苦笑ぎみに三球目はもう見ずに背中を向けている。山田はともかく土門の吾朗への評価が存外低いのが意外です。それだけ明訓を、里中を高く評価してるからなんでしょうけど。

・『試合はようしゃなく回をきざみます 両投手パーフェクトを続ける試合は実に早い 一時間で七回表・・・そしてツーアウト』。つまりここまで土門さんも打てずにきたのか。しかも山田のリードじゃないのに。一年秋、調子は良かったにもかかわらず土門を連続敬遠させられた時に比べてそれだけ里中が成長したということでしょうか。
しかし土井垣は内心「里中は絶好調だ ・・・大試合に強い たいしたやつだ・・・し しかし しかし土門はその上をいく」とやはり土門のほうが上という評価。よくぞ里中に敬遠を命じないでくれた。

・ここでなんと吾朗が初ヒットにしてホームラン(出会い頭らしいけど)。グローブを地面に投げつけた里中の姿に『これ以上ない値千金の一発に珍しく怒るエース里中』と実況。「いいバッターになったものだ」と思いつつも、結局吾朗に打たれるなんて想定外だったのがわかります。そんな里中の心理を読んでか吾朗が「ごめん」と軽く頭下げてる。ここで詫びられるのも屈辱の上塗りだよなあ。

・三太郎、里中にグローブ?を渡しながら「おれのサインミスだ」と顔をしかめマウンド前を足でガツガツ蹴る。「三太郎」「いやおれのサインミスだった」。里中内心「サインをだしているのはおれなのに三太郎のやつおれをかばってくれている」。
このおかげで里中が冷静になった気がする。三太郎いいやつだ。そして投手の気持ちを上手く引き上げる、いい捕手じゃないか。実際この行動には“裏”があったわけですけど(笑)。

・土門チェンジアップを打たされファーストライナーでチェンジ。ベンチに戻りメットを軽く投げてチームメイトに渡しつつ「うまいな里中は」。吾朗も「はい」と頷く。さすがに土門さんは度量が広い。直前に吾朗に打たれた里中がグローブ投げる姿を見てるだけに(笑)。

・7回裏、先頭打者岩鬼。土井垣「しかしあの絶妙のコントロールの土門には悪球打ちの岩鬼もまるで手がでない」三太郎「はい今までのところは」殿馬「今までもそれまでも同じづらぜ」三太郎「わかりませんぞフフフフ」。明訓ベンチでなにやら不穏な会話が。なんのことかと思いきや土門の踏み込んだ足がすべって悪球に、岩鬼センターライナー。
三太郎「ちょうど土門が足をおろすあたりをちと掘っておいたんっすよ」里中「えっ いつの間に おれのサインミスだっていったときに悔しがったあの時か」。なんとまあ悪辣な。しかも「わかりませんぞフフフフ」。あのニコニコ笑顔でこういう事やるんだからタチが悪いです三太郎。
しかし「土門が足をおろすあたり」に里中の足はひっかからないというのが、里中の方が足が短いと言われているようで(苦笑)。背丈が全然違うから当たり前なんだけどさあ。

・「やられたな」とつぶやきつつマウンド前を足でならす土門。つまり三太郎の策略に気づいているわけですね。吾朗の第一打席の時に土井垣さんが山田に「因果なめぐりあわせだな・・・・・・打席に入る谷津だが本来ならあの打席には三太郎が立っているはずなんだぞ」うんぬんと話しているだけになお皮肉が目立つというか。三太郎はどれだけ土門さんにひどいんだ。

・『続く殿馬に期待の明訓ですがその殿馬も実は右肩をピストルで打たれてまだ負傷中です』。ひさびさに殿馬負傷ネタが出てきた。吉良戦では普通に(白鳥の湖まで)打っていたのですっかり治ったものと思ってました。

・二死二塁で4番高代の代打山田。なぜ一年の、特別強打者とも思えない高代が準決勝の川岸商業戦以降4番を打ってるのかと疑問だったんですが、いざというときに代打で山田を4番に入れるためでしたか。準決勝で高代は4の2という高打率をマークしていますが、4番を任された高揚感+ここぞの場面では山田が代打で出るとわかってるのでプレッシャーがなかったのが幸いしたのかもしれません。

・山田は腕の上がらない自分を出した土井垣の意図を忖度。自分の手が治ったと見せかけて歩かせるのを期待してるとふんで、「それなら打ちにきたとみせるためにベース寄りに立とう」と考える。一方マウンドの土門と吾朗は作戦会議。「なるほどおまえは治っていないというんだな」「はい治っていると思わせてこっちが敬遠するのをねらった代打と思いますけど・・・ つまり土井垣さんのねらいは微笑さんと勝負にでてくれるということです」「そうかなおれは治っていると思う でなければだせるものじゃない まったく振れない山田と振れる高代・・・・・・万が一にもバットに当てることが」「あっ ぼ ぼくのようにですね」「いいか山田の立つ位置をみろ 打つ気できてるならベース寄りに立つはずだ」「はい」。
吾朗が山田と同じ読みを披露する一方、土門がまんまと引っ掛かってるのに驚きます。こと山田や明訓ナインに対する読みでは吾朗のほうに分があるということですね。それでこそ土門さんがわざわざ甲子園に送り込んだ甲斐があるというものですが。

・山田のよけ方で腕が上がるか確認するためインコースへ投げる。山田よけようとしてバットでボールを打つ(ちょうどこの時権左の水垢離も最高潮、「死ね〜〜」とか叫んでいる)、三塁後方へのポテンヒットに。レフトがショートバウンドで拾いバックホーム。岩鬼三塁回ってホームへ飛ぶが全然ベースに届かず。しかし返球も大きくはねて吾朗の頭上を越える。しかしバックアップの土門がすぐ後ろで止めてベースタッチへ。ぎりぎり岩鬼の手が早く同点に。土門すぐ二塁へ投げるが山田もセーフ。これはラッキーに助けられたというより、山田の気力が権左の呪いを打ち破った事が運を引き寄せたという描写でしょう。

・「サッちゃんのお兄ちゃんが打った打った〜〜」「夏子はんの恋人がホームをふんだふんだ」。無邪気に喜ぶサチ子と夏子。このころ夏子はもう岩鬼の恋人ってことになってるのか。

・山田のポテンヒットを見て、山田の金縛りは演技だったと判断する土門と反論する吾朗。「あの山田さんがわざと金縛りの演技をやってきたなんて・・・そんな演技のできる人ではありません」「ふだんの山田と野球をしている山田をいっしょにするなよ」「し しかし・・・しかし」「吾朗・・・山田の金縛り 演技ではなく作戦としたらどうだ(中略)照準をうちに合わせた作戦としたら・・・・・・・・・これはうなずけんことはなかろう」
ここでも事実を言い当ててるのは吾朗の方。しかし敬愛する先輩土門さんに結局言い負かされてしまう。しかし土門さんに実際より腹黒く思われているのね山田。

・8回表、さすがに疲れを見せ始めた里中に岩鬼がていねいにこねたボールを手渡しながら「死んだつもりで投げえ」「男・岩鬼がとむらい合戦の先頭にたって犬死にはさせん 気にするな・・・・・・ふとそんな不吉な予感がしただけよ」などという。その3p前に救急車が走るシーンが挿入されていて、この岩鬼発言と救急車がリンクして里中が大怪我でもするのではないかとハラハラさせる。岩鬼母が倒れたことがあとで明かされるので実は不吉なのは岩鬼のほうだったわけですが。
この直後保土ヶ谷球場を目指すいわくありげな二人(義経と武蔵坊)が初登場するのも、なんだか不安感をあおります。甲子園大会のライバルが県大会決勝を観戦に来るのは一年夏と同じパターンですね。

・吾朗の打席。山田「吾朗はインコースぎりぎりに立ってきた 疲れがでてきてコントロールが甘くなってきてる里中にはインコースは投げにくい 死球があるからだ となるとアウトコース一本に吾朗は的をしぼればいい ところがこのアウトコースこそカットできる一番楽なコースだ これが吾朗のねらいだ・・・・・・こうしてカットカットで球数をふやさせて疲れさす戦法なんだ」「・・・・・・と山田さんはそう思っているはずだ だからおれはその読みにはまったようにみせる・・・・・・それにはアウトコースにきたら必ず打ちにでる」。ここの読み合いにはしびれました。吾朗かっこいいなあ。

・「やはりアウトコースを打ちにきた・・・・・・・・・見送ったのはボールだったからだ ストライクなら打たれている」「アウトコースを打ちにきたと山田さんはこれで思ったはずだ だからストライクはその裏をかいてインコースでとりにくる まわりが思っているほど山田さんは里中さんのコントロールには不安を感じてない」里中内心「インコースにストライクか・・・・・・」「それほど山田さんは里中さんを信頼している」。
↑に続いて吾朗の読みが山田を上回っている。捕手同士の頭脳対決に関しては明らかに吾朗に軍配があがってますね。吾朗の読みの根幹にあるのが「山田さんは里中さんを信頼している」なのは嬉しいですけど。この試合、最初から最後まで山田は里中を評価しまくりでそれが裏目に出ています。

・次のページ2p見開きで吾朗のホームランスイング。土門内心「やったな吾朗 里中を信頼した山田を見抜いた吾朗の読み勝ちだ 山田は今の里中の力を信頼していた・・・・・・しかし信頼しても信用してはならないのだ ・・・・・・だから配球に甘さがでたのだ」 信頼と信用の違いがよくわからないですが、すでに甘くなってきてる里中のコントロールを信じたのが間違いってことなんでしょうね。

・9回裏2対1。土門甲子園へあとワンアウト。打者山岡。山岡のボテボテゴロを土門がジャッグルしてぎりぎり一塁セーフ。土門と山田の勝負。一球目見送り。観戦する義経と武蔵坊は「山田は手がでなかった?」「ちがうボールの判断だ」。 またボールを見送り。「いい選球眼だ」「選球ではない 手がでなかった」。いちいち武蔵坊が(しかるべき根拠もなく)反論するのがなんとも(笑)。やりとりが漫才みたいだし。

・この勝負を見ながら土井垣と里中の会話。「歩かす気か・・・・・・」「でしょうね ・・・・・・くさいところをついて・・・・・・」「なるほどおまえならしかしどうする?」「は はい ぼくに土門さんの豪球があったら敬遠です」「となるとポイントは三太郎か・・・・・・・・・」「・・・・・・とは決めずに投げます」「最悪満塁にして石毛勝負ということか・・・」「はい 石毛さんと勝負をする気なら三太郎に対して思い切ったピッチングができます」「三太郎はまだしも石毛勝負だと確かに分が悪すぎる 唯一のチャンスが消える」。石毛に失礼な気も。しかも石毛そのへんにいるし(p198)

・敬遠とみせて実は勝負、ツースリーからファールでねばる山田。土門「しかし吾朗も相当強情っぱりだな ストレートしか要求してこない」「・・・・・・・・・・・・・」「えっシンカー・・・・・・お 落とすのか」「いやストレートでいかせてくれ」「だめ」「ここまでストレートで押したんだ最後まで」「だからきくんです山田さんと勝負の前にチームの勝つことが先決です」「よーしわかった吾朗シンカーで 甲子園にいくぜ」。
敬愛する、ゆえにここまでは意見が割れたとき常に言い負かされてた吾朗がここでは「だめ」ときっぱり土門の要求を却下し決してゆずらなかった。しかし甲子園行きを目的とするなら一番確実なはずの山田敬遠はやらずにちゃんと勝負をさせた。そして年下の吾朗にずっとリードを任せた土門は、この重大な局面で最終的に吾朗の意見を容れた。横学バッテリーの固い信頼と相手への敬意を感じさせる名場面。

・山田カットするもファールチップに。吾朗がとって明訓敗北が宣告されたところで次回へ、というすごい引き。当時本当に明訓が負けたかと焦った人も結構いたようです。本当の本当に明訓が負けるとなったら弁慶戦ラストくらいの派手な演出がなされるでしょうが。

・吾朗痛恨の落球。とっていれば甲子園だったのに、と悔やむ吾朗にどんまいと声をかけるチームメイト。土門も笑顔で「気にするな ああいう打球はスピンがかかっていてとりにくい」。土門のみならずチーム全体が吾朗を気遣っている。吾朗の言葉に従ってシンカーを投げた土門など吾朗を責めたくなって当然の局面なのに。素晴らしい投手であり素晴らしいチームです。

・土壇場で山田の同点三塁打。『打った山田より三塁コーチの高代の方がとびまわって喜んでいます』。やったやったと山田と握手しつつ右肩をパンパン叩く高代。いつのまにかすっかり先輩に気安くなっています。この喜びようも含め、それだけ明訓野球部に完全に溶け込んだということですね。

・土門は満塁策をとる。仲根にかわりピンチヒッター渚。「明日の見出しはこの男・渚さまがいただきよ」と意気揚揚とバットを持って歩く渚の姿に殿馬は「明訓もう一人の岩鬼づらぜ」。ここで土井垣は内心「ザ・ベースボール ・・・・・・今みせてやるぜ」などと思っている。この「ザ・ベースボール」よくネタにされますが(笑)、要は打撃妨害→押し出しで一点取るのが目的とみせて鈍足の(ゆえにまさか走るまいと油断されてる)山田にホームスチールをさせるということですかね。二段構えの、なかなかスグレものな作戦でしたが土門が一枚上手だった。惜しい。

・吾朗、インターフェアを狙った渚のバット引く動作をかろうじてよけたうえボールを胸で受け止める。吾朗ならではのファインプレー。「吾朗 すばらしい反射神経だったぞ 助けられたよ」。この気遣い。土門さんはつくづく紳士だ。

・いきなり山田ホームスチール敢行。渚は体を前後させて吾朗の視界をふさいでのランナー隠し。こういう援護は渚ならではという気がします。四天王にも先輩たちにも似合わないもんな。存外小ずるい三太郎ならありかも。
土門は吾朗に「前にでるな」「動くな〜〜」「低めにミットをおけ」と指示をだし、ワンバウンドぎりぎりの低さからのびるストレート。「ミットを上からかぶせろ」「山田をタッチにいくな そのままベースの先端にかぶせろ」。山田スライディングしながら吾朗のミットを手で押しやるが、吾朗ボールをはなさず。アウト。土門と吾朗、二人の連係プレーが冴えます。なんかもう横学を勝たせたくなるくらい。

・渚、今川と連続三振し里中の打席。『下位にあってこの里中は期待できます』。里中がバットとマスコットバットをまとめて振っている。里中には珍しいシーン。「このチビ期待でけん」とベンチでふんぞりかえる岩鬼の思惑と正反対に『がしかしあとの岩鬼がまったく期待できません』と実況が言っているのがなんか可笑しいです。

・里中左脇腹にデッドボール。体をのけぞらすも「いたいなこの死球 おれじゃない・・・・・・土門がな」と笑う余裕あり。しかも元気よく一塁へ走る。捕手をぶっこわす土門の剛球が当たったというのにケガをした様子もない。なんと頑丈な。

・再び観戦中の義経と武蔵坊。岩鬼の打席にさいし武蔵坊いわく「このでくの坊より次のチビがおれには気になるな」。この時点から武蔵坊は殿馬を警戒していた。しかし「でくの坊」とは岩鬼がかわいそうな。結局ここで岩鬼が逆転ツーランを放つわけで、武蔵坊の予測は見事に外れたことに。

・岩鬼が打席にいるというのにネクストサークルの殿馬の妙なスイングに、秘打を期待する客席が沸騰。一方で岩鬼に対して「岩鬼三振」「岩鬼三振」「岩鬼ど三振」と三振期待のコールが。しかし「ど三振」ってなんだ(笑)。岩鬼ならずとも「な なんじゃそりゃ」と言いたくなります。岩鬼が「やめてくれんか殿馬くん気が散るねん」と声をかけると「はい」と素直な返事とともにネクストサークルにベチャっと座り込む殿馬が可愛いです。なぜか二人して口の聞き方が丁寧なのも。岩鬼のホームランで試合終了でなければ殿馬はどんな秘打を狙っていたのかな。

・優勝旗授与のときに涙ぐむ吾朗。「く くそ〜〜っ ま 負けるってこ こんなに悔しいものなのか」。秋の大会のときにも決勝で負けているのに反応が違うのは、猛練習をつんで一人前のキャッチャーになったあとだからでしょう。今大会で引退の土門のほうが(吾朗たちチームメイトへの気遣いゆえか)さわやかに微笑んでいます。

 


(2011年4月8日up)

 

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