ヒーロー

 

――すごい。

東郷学園中学のベンチで、里中は茫然と試合に見入っていた。正確には対戦相手である西南中学のキャッチャー、山田太郎という男に。

―あの山田ってやろう ベースの上にすわってやがる。タッチできないぜ。

―デブで鈍なあいつはルールを知らないからいやになるぜ。

そんなチームメイトの声に、違う!と声を大にして叫びたかった。ベースの上に座ってると見えるのはそれほどの安定感を持って本塁をカバーしているからだし、ルールを知らないどころかこちらの作戦をいちいち読みきって投手を巧みにリードしている。そのリードを生かすには西南のピッチャーがあまりにお粗末だから打たれているだけで。

西南に比べこちらのエース小林は大したものだった。正直全く比較にならないと言っていい。さすがにリトルリーグの世界大会で優勝し、入学当初からエースの座を手にしただけのことはある。

里中は胸に小さな痛みを覚えた。小林がいるために里中は補欠の立場に甘んじざるを得なかった。それどころか入部早々に内野手への転向を命じられ、投手として認められてさえいない。

――おまえみたいなチビに投手がつとまるもんか。

入部初日にチームメイトにそう嘲られ、数人を相手に大立ち回りを演じた。そんな自分に監督は小林と投げ比べをさせて「投手はあきらめろ」と言ったのだ。何も反論できなかった。捕手をふっとばしたほどの小林の力強い速球は、一瞬にして里中のプライドを粉々に打ち砕いていたから。

あの時のショックは生涯忘れない。あれ以上のショックを受けることはこの先もうないと思った。そう、思っていた。

しかし今、里中は相手校の太った捕手のプレーにあの日に劣らぬほどの衝撃を受けていた。こんなすばらしいキャッチャーが中学生とは・・・!

 

守備ばかりではなかった。バッティングにおいても山田は、5回表にあの小林の球を大ホームランにしたのだ。素晴らしいパワー。それ以上に体型からは考えられないほどの腰の回転、確かな選球眼。この男は打者としても一流だ。監督や後輩は出会い頭だまぐれだと決めつけているが、とんでもない。あれは完全な狙い打ちだ。なぜみんな、監督まであの男のすごさに気づかない・・・?

山田の後の打者三人を三振に取り、攻守交代でベンチに戻ってきた小林がタオルで汗をぬぐう。

「失投を持っていかれたな。不運だった。まあうちがリードしているんだ。一点くらい気にするな」

監督がねぎらいの言葉をかけるのに、小林がタオルに埋めていた顔をあげると、「あれは、失投じゃありません」と真剣な顔で答えた。その意外なほど強い語気に監督がいくぶん鼻白んだ表情になる。

――さすがに小林は気づいている。あの山田という男の才能に。

5回裏にさらに1点を追加し、スコアは1−3となった。しかし2点リードしているといっても、それは相手ピッチャーのコントロールが甘く球威もないためにホームランを二度打たれたことによるものだ。つまり結構出塁はしてるにもかかわらず、ホームラン以外でベースを踏んだ打者がいない。ファールボールも果敢に取りに走り、ホームへの返球が多少それてもそれを止めてタッチにいく。投手のみならず他の野手にも恵まれてるとは言いがたいなかで、あの男が一人で西南を支えている。

さらに里中の目を奪ったのは山田が実ににこやかにプレイしていることだった。チームメイトの不甲斐なさを苛立たしく思って当然なのに、彼は常に明るく、チームメイトに励ましの声をかけている。あふれるファイトとは裏腹の人の良さそうな笑顔で、自然とまわりをリラックスさせている。そのいかにもおっとりした雰囲気が、東郷の監督やナインが彼をあなどる原因にもなっているのだ。

――相手を油断させることまで計算してのあの笑顔だとしたら・・・。

里中は戦慄を覚えた。とてつもなく大きなスケールの男。小林よりももっと。

あの男と戦ってみたい、と里中は思った。一球だけでもいい、あの男に投げてみたい。

小林からさえ軽々ホームランを打った男。しかし勝算がないとは里中は思っていなかった。小林と自分では投手としてのタイプが全然違う。小林の速球に慣れた目は、自分の球にはかえって手こずるかもしれない。自分の――変化球には。

 

小林の投球を初めて目の当たりにした時、かなわないと思った。このままではおれは到底この男に及ばない。骨身に沁みて思い知らされた。

普通ならここで、投手をあきらめて内野手になれという監督の言葉に従うところだろう。しかし里中はそうではなかった。その場では何も反論できなかった。だがあきらめるという選択肢はありえない。小学校はずっとピッチャーだった。これからも自分はピッチャーをやるのだ。そうでなくてはならない。

根拠のない思い込み。人はそう言うだろうが、里中は投手をあきらめる代わりにどうすれば投手として小林と同じ土俵に上がれるのかを考え続けた。体格ではどうしたって小林に劣る。それなら小柄な体格を生かせるアンダースローに投球法を変えればいい。速球でかなわないなら、変化球を会得すればいい。

里中は一人ひそかにアンダースローと変化球の練習をはじめた。野球部ではとっくに里中を野手と見なしている。投手としての里中の練習は、部活が終わってからたった一人で行わざるを得なかった。一人空き地で土管に向かって投げる孤独な日々。その末に身につけた変化球を、人前で投げたのはまだ一度きりだ。

――山田と、勝負がしたい。

切なる思いを胸にもてあましながら、里中はただ一途な視線を山田に注ぎ続けた。

 

ネクストバッターズサークルの山田はふと突き刺さるような視線を感じて横に目を向けた。試合が始まって間もない頃から、妙に誰かの視線を感じる。東郷のベンチからだ。

遠目にベンチの中の選手たちをそれとなく眺めてゆく。ベンチの後ろ右端の顔に焦点が合った瞬間、相手がはっとして目をそらしたのがわかった。

あの子だ。さっきから自分を見ていたのは。自分の何にそんなに興味を持ったんだろう?

――でもさすがに東郷は名門だな。女子マネージャーにユニフォームを着せてベンチ入りさせる余裕があるんだもんな。

里中が知ったら目を剥いて怒りそうな事を山田は考えながら、バッターボックスへ入るため立ち上がった。

 

7回表に山田のセンター前ヒットをきっかけに2点を返され、3対3の同点で迎えた延長9回表、ツーアウトで4たび山田がバッターボックスに入ったとき小林の顔がわずかに引きつった。このぎりぎりの局面で事もあろうにバッターがこいつだとは!

小林は念入りにロージンをはたき、渾身の速球を放った。すでに9回を投げているがまだ球威は落ちてはいない。山田は一球目は見逃し、二球目を果敢に振ってきた。火の出るようなライナーが右中間へ抜ける。その打球の鋭さにライトがボールをはじく。愕然とする小林の目に、転々とするボールに追いついたライトがバックホームするのが見えた。山田は間に合わないと踏んだか無理に走らず三塁に留まった。

最高の球を完璧に打たれた。それももっと足のある打者なら一気にホームを突いて逆転できた展開だ。小林は屈辱に体が震えるのを感じた。ツーアウト3塁。ここ一番のプレッシャーに弱いところのある小林がもっとも嫌いな形だ。

 

思えば7回表もそうだった。死球で出したランナーが山田のセンター前ヒットで帰り、さらに送りバントで山田が進んでツーアウト3塁になった。

自分からホームランを打った山田が三塁にいる。警戒しながらバッターに一球を投じようとした時、大きめにリードを取っていた山田がスタートを切った。なに!?とそちらに気を取られて甘くなった球をバッターが三塁方向へ転がした。山田の体が邪魔になってサードが球を取るのにもたつく間に一塁はセーフになり、山田もぎりぎりホームへと滑りこんだ。

――あいつは盗塁を狙ったんじゃなかった。塁を大きく飛び出すことでおれの注意を向けて失投を誘うのが目的だった。

考えてみればあの肥満体で本盗もないものだ。山田の陽動にまんまと引っ掛かってセーフティバントで1点を奪われてしまった。今日は決して小林の調子は悪くなかった。むしろ好調だと言っていい。実際他のバッターにはバント以外打たれていない。山田ひとりが、自分から長打をもぎとっている。山田ひとりに自分は翻弄されている。

 

その山田がまた、同じように三塁にいる。リードを大きめに取り打者はすでにバントの構えだ。またセーフティスクイズでくるつもりか。小林はサードに牽制球を投げた。山田が素早く塁に戻る。よし、これでそうそう走る気は起こすまい。とにかく山田以外の打者はまともに自分の球を打てないのだ。ここはバントも出来ないように外角へボールになるカーブを投げて打者の打ち気をそらしてやろう。

小林はキャッチャーにサインを送るとセットポジションから第一球を投げた。しかしやはり緊張が手元を狂わせたのか、カーブがすっぽ抜けてショートバウンドになる。キャッチャーがあわてて止めようとしてファンブルし、ボールが力なく転がった。

その瞬間、山田が猛然とスタートを切った。まさか。鈍足のあいつが。小林は驚愕したが、キャッチャーは意外に捕球に手間取っている。9回表ツーアウト、自分以外の打者には期待できない状況で、山田は一か八かの賭けに出たのだ。

そう気づいたとき小林は本塁カバーに走っていた。キャッチャーがやっとボールを拾い上げて小林に送球する。ベースを踏んだ小林に向かって山田が足から滑りこんでくる。そうはさせるかと小林は果敢にタッチに行き――激痛とともに目の前が真っ暗になった。

 

それは信じがたいような事故だった。ホームめがけてスライディングした山田のスパイクが、本塁カバーに入った小林の両目を切り裂いたのだ。

鮮血が飛び散った瞬間、里中は自分の視界まで赤く染まるような錯覚を覚えた。

「小林!」

「大丈夫か、小林!?」

監督が、ナインが口々に叫びながら小林に駆け寄っていく。大丈夫なはずがない。あんなに血が出ていて、しかも場所が目だ。傷の深さと位置によっては――。

里中は自分も監督たちの後についてベンチを飛び出そうとした。が、体が前に進まない。足ががくがくして立っているのが精一杯だった。

おれは何をこんなに動揺してるんだろう、と里中は思った。自分は別段小林と仲が良かったわけじゃない。エースの座を競い合うライバルと―一方的にだが―思うがゆえに小林と馴れ合う気にはなれなかったし、小林は小林で自分のことなど歯牙にもかけていなかった。動揺する理由などないはずなのに――どうして足が動かない?

「しっかりするんだ小林。すぐに救急車が来るからな」

ぐったりしている小林の体を抱き起こそうとした監督が、まだホーム前に倒れていた山田の体を乱暴に突きのけた。山田は突かれた勢いで横に転がり、そのまま起き上がってこようとしない。自身が引き起こした事態の重大さに、完全な自失状態になっている山田に、さっきまでの中学生離れした落ち着きのスーパープレーヤーの面影はなかった。

東郷の皆が小林を囲む側に、誰からも構われることなく地面に転がっているその惨めな姿を見て、里中は内から湧き上がってくる何かを感じた。金縛りが解けた里中は、今度こそベンチを出て小林の方へと走った。一方西南のベンチからも監督が出てきて、人形のような山田の体を抱え起こしている。次第に大きくなっていた救急車のサイレンが止まり、やがて救急隊員が担架を持って忙わしく駆け込んでくる。

「ところで、試合は・・・」

「中止に決まってるだろう!あんたのとこのキャッチャーのせいでな!」

西南の監督がこわごわ口にするのを東郷の監督が怒鳴りつける。監督に支えられていた山田の体がびくっと震えた。そのとき、

「試合は、続けてください」

凛とした声に皆はっと振り向いた。担架に乗せられた小林が懸命に顔をあげようとしている。

「山田のホームインで4−3、逆転でしょう?このまま半端なところで終わりたくない。ちゃんと山田と決着をつけたいんです。」

皆の目がホームベースに向かった。確かに未だ本塁前で上体を起こしただけの山田の足はベースに触れていて、その側にボールが転がっている。誰もが事態の深刻さにパニックになっているなか、大怪我を負った張本人の小林の冷静さに里中は舌を巻いた。

「お願いします監督。試合は、続行してください」

傷が深すぎて痛覚が麻痺しているのか、怪我人とも思えぬきびきびした物言いに監督はしばし言葉を失っていたが、小林が自分に傷を負わせた山田への復讐を試合に託したのだと解釈することにしたらしい、

「――そうか、わかった。おまえがそこまで言うのなら。辻本、」

監督が控えのピッチャーに目で合図し、辻本が頷きかけたのを小林の声が遮った。

「リリーフは、里中にやらせてください」

一瞬沈黙が落ちた。思いもかけぬ言葉に監督以下その場の全員が、人垣の一番外側に立つ里中に視線を集中させる。辻本などがくんと顎が落ちている。しかし誰よりも驚いていたのはいきなり名指しされた里中自身だった。

「いや、しかし小林、里中はもう投手じゃ・・・」

監督の言葉を小林は再び遮り、

「投げられるよな、里中」

顔を少し傾けるようにする。見えない目で自分を探しているのだと察した里中は、チームメイトを掻き分けるようにして小林の前に出た。

「小林」

なぜおれを指名した?なぜおれを選んだんだ?言いたいことはたくさんあったが、まったく言葉にならなかった。小林は里中の混乱など知らぬ気に、

「ここは、まかせた」

薄く微笑んで一言告げるとそのまま昏倒した。傷のひどさを思えばここまで意識を保っていたのが不思議なほどだ。小林の精神力にみな感嘆せずにはいられなかった。

担架を運び込んだ救急車のサイレンが遠ざかっていく。監督は里中を振り向いた。

「やるつもりか、里中?」

「やります」

里中はきっと監督を見据えて答えた。熱い感動が里中の胸を満たしていた。

自分は小林とエースを競い合うために東郷に入った。小林と対等に戦えるようになるために変化球投手に転向した。中学に入る前からずっと、自分は小林の背中を追い続けていた。本当はずっと小林に――憧れていたのだ。その小林が自分にマウンドを託してくれた。

だからこの試合の決着はおれがつける。小林の代わりに山田と戦う。小林の代わりに試合に勝つ。

里中はベンチに戻り、グローブを取り上げた。

 

山田が監督に抱きかかえられるようにしてベンチに戻っていったあと、里中はマウンドに立った。初めてのマウンドにこんな形で立つことになるとは思いもしなかった。

キャッチャーの五十嵐を相手に投球練習をはじめる。自軍のメンバーでさえ多くは里中のアンダースローを見るのは初めてだ。果たして里中がどれだけ投げられるのか、皆が息を詰めるなか里中は第一球を放った。外角へのカーブ。サインもなしにいきなり投げられた球を五十嵐が後逸する。

「いきなりカーブなんて投げるなよ!」 怒った声でボールを投げ返す五十嵐に形ばかり頭を下げる。五十嵐はストレートのサインを出してきたが無視してシンカーを投げる。後逸。続いてシュート。これも後逸。

里中の頭に眼前のキャッチャーのことなどなかった。彼の意識は西南中学のベンチの中だけに向いていた。

――山田。

投球の合間に横目で窺うベンチの中で、山田は糸の切れた人形のようにただ力なく座っている。

――おれを見てくれ、山田。

ワインドアップから最高のキレのシンカーを放つ。ベース手前でがくんと落ちたそれが、五十嵐のミットを逸れて転がった。

「いいかげんにしろよ里中!これじゃ全部振り逃げされちまうだろう!」

ついに五十嵐が怒鳴り出したのへ、「すみません、サインよく知らないもので」と口先で詫びる。おざなりに口にした言葉だったが、意外にも五十嵐は「それもそうだな。おまえずっとピッチャーやってなかったもんな」とあっさり里中の言い分を認めて、マウンドに寄ってくるとサインを一つ一つ指で形づくりながら教えてくれる。そして最後に、

「絶対勝とうぜ。小林の無念を晴らすために。」

ぎゅっと拳を握り締めた五十嵐の言葉に里中も「はい!」と力強く頷いたのだった。

 

試合は再開されたが、すっかり縮みあがっている5番打者は見逃し三振に終わり、またたく間にチェンジとなった。西南ナインが守備につくもののその動きにも表情にもまるで生気がない。何よりチームの要として常に皆の気持ちを引き立ててきた山田が幽鬼のようなありさまだ。「しまっていこー!」の声もなく、力ない動作でベース後ろに座りマスクを引き下げる山田の姿に里中の胸はきりきりと痛んだ。

対する東郷は小林の敵討ちにすっかり燃え上がっている。1番打者の下田は初球から果敢に振って行き、そのバットが大きく空を切った、と見えたのだが――。

「インターフェア!打撃妨害!」

審判の声にさすがに山田がはっと顔を上げる。ショックを受けたのは里中も同じだった。どうやらバットの先がミットをかすめていたらしいが、あの山田が。いきなり打撃妨害だって?

下田が出塁し、続く遠土、古河も初球を叩いてヒットにする。無死満塁のピンチにもかかわらず、西南のエースはあいかわらず気の抜けたような顔でぽつねんとマウンドに突っ立っているばかりだ。本来ならそんなときに適切なフォローをするのだろう山田はこちらもぼんやりと座りこんだままである。リードもただ機械的にサインを出しているだけなのだろう。山田の心情を思えば無理もない。無理もないが、でも。

「里中」

ネクストバッターズサークルの中で立ち上がった里中に監督が声をかけ、右手をサッサッと動かしてサインを出す。スクイズの指示。

――まあ万年補欠のにわか4番に長打を期待する気にはなれないだろうな。

エースで4番の小林と交代したことで里中は自動的に4番を打つこととなった。それに気づいたとき監督が「しまった」という顔をしたのを里中は目ざとく観察していた。ヒットでもバントでもとにかく当たりさえすれば一点入って同点になるのだからこの場合スクイズは当然の戦略だ。

この調子じゃバント以前にフォアボールか死球で押し出しになりそうだがな。いや後逸もありうるか、と考えて里中は心が重く沈むのを感じた。こんなのじゃない。自分が勝負したかった山田はこんな情けない男じゃない。

バッターボックスに入った里中は山田を見下ろした。山田は少しうつむいたまま里中の方を見ようともしない。里中の苛立ちは頂点に達した。

「ちゃんとこっちを見ろよ、山田!」

いきなりバッターに怒鳴られて驚いたのだろう、山田はびくっと顔を上げた。

「バッターの立ち位置、バットの構え方、目の配り方、その全部から狙い球が何か、得意なコースが何か見抜いてピッチャーを巧みにリードするのがおまえのやり方じゃなかったのか!おれは・・・小林は、こんな腑抜けた男と戦いたかったんじゃない!」

小林の名前に山田が体がはっと強張る。届いた。ようやく自分の気持ちが山田に届いた。頼む山田。目を覚ましてくれ――。

「おれたちとちゃんと勝負しろ山田。それにきちっとリードしてやらなきゃあのピッチャーだって可哀想だぜ」

山田がピッチャーの方へ顔を向ける。マウンドの上で心細げにしているエースの姿に、山田の目に少し光が戻ったように見えた。そうだ、まずピッチャーの調子を第一に気遣う、それでこそ山田だ。

里中はさりげなくリードを取っている三塁ランナーの方へ目をやった。山田が正気に戻ってるなら、すぐにこの視線の意味に気づくはずだ。さあ、スクイズを阻止してみせろ。

 

山田のサインにピッチャーが頷く。さっきまで冷や汗を流していたのが少し落ち着いたようだ。セットポジションから投球モーションに入る。三塁ランナーがスタートを切ろうとした瞬間に球を大きく外す。

見え見えのウエストボール。おい、タイミングが早すぎるだろう。スクイズを読めてないふりをして三塁ランナーを走らせ、ホームで刺すべきだろうに。案の定ランナーが予定通り走るかどうかためらっているのへ里中は目で「来い!」と訴えると、バットを思い切り伸ばしボール目がけて飛びついた。バットの先がボールをかすめる。ボールが前方へ落ちた。ランナーが全速力でホームめがけて走ってくる。

自身はバランスを崩し倒れこみながらも、「よし!」と里中が思ったとき、山田が大きく前に飛び出すと里中の当てた球を地面につくすれすれでキャッチした。ランナーはあわてたがすでに一、二塁ランナーも走り出している。山田はその体からは想像もつかないほどのすばやい動きで体を反転させホームベースを踏んだ。三塁ランナーフォースアウト。山田の捕球時点ですでに三塁ランナーが生きるのは不可能と判断した一、二塁のランナーは、帰塁しようとはせずそのまま次の塁へと進んでいる。

――一気にツーアウト二、三塁か。さすがだな。

里中は体を起こし軽く泥を払った。山田に向かって薄く笑いかけると、よほど意外だったのか山田がマスクの奥で細い目をぱちくりさせた。今の里中にとっては競り負けた悔しさよりも山田が復活してくれた、その喜びの方がはるかに大きかった。

 

5番江上の一塁線へのバントで三塁ランナーが帰り、東郷は何とか同点に追いついた。4−4で迎えた10回表、里中は再びマウンドにあがった。

山田を挑発して調子を取り戻させたのは自分だ。スクイズを見抜くよう仕向けたのも、ランナーにゴーサインを出したのも自分。

――責任は取らなくっちゃな。

ポンポンと手の平でロージンをもてあそんでから、里中はワインドアップに構えた。キャッチャーのサインはストレート。それはそうだ。所詮は即席のバッテリー、今から自分の変化球に慣れてもらうわけにもいかない。幸い西南には山田以外に警戒を要するようなバッターは少ない。ましてや下位打線。ストレート一本でも十分いけるだろう。

その予想通りに里中は三者三振に討ち取った。球のスピードそのものでは小林に遠く及ばないが、かえって小林の速球に慣れかけた目には有効だったうえ、手元でボールが浮き上がるアンダースロー特有の球の軌道とフォームにタイミングが合わず、打者はすっかり翻弄されていた。驚いたのは彼の球を受けていた五十嵐も同様である。

――球の威力はさほどでもない。しかしコントロールは小林より正確だ。

小林は球威がある分、コントロールがやや大味になる傾向があった。里中はちょうどその逆だ。ためしにストライクゾーンぎりぎりの外角低めなどと細かい指示を出してもきっちりそこに投げこんでくるのだ。

――こりゃ、辻本よりは確実に上だな。

小林は知っていたのだろう。だからわざわざ里中を指名したのだ。そう言えば前に一度、里中がアンダースローに変えたと言って控えキャッチャーの小平に投げていたことがあったっけ。小平は「山なりのくそボール」とけなしていたし自分にも遠目にはそう見えたのだが・・・。これなら勝てる。小林の無念を晴らしてやれる。

三人でこの回を終え、マウンドを降りた里中に、五十嵐は「ナイスピッチ!」と明るく声をかけた。

 

10回裏、先頭打者がヒットを打ったものの続く三人はあっさり凡退に終わった。球威のない、コントロールも甘いピッチャーを巧みにリードして打たせて取った山田の才覚を、里中は敵ながら、敵であるゆえに喜んだ。

次の回が勝負だ。里中は意気揚揚とベンチから立ち上がった。

11回表、打順は9番から。あえてど真ん中へ投げた球をバッターは打ちにいったが、打球が詰まってショートフライになる。小林に比べると球威がないと言っても、本気のストレートを投げれば下位打線なら詰まらせるぐらいはできる。まずはワンアウト。

しかし上位打線はそこまで簡単にはいかなかった。1番にセーフティバントを決められ、続く2番がセンターライナーを打ってランナー一、三塁。さすがにアンダースローにタイミングが合ってきたらしい。もともとストレートに力がないからこそ変化球投手に転向した自分だ。バント一つで1点入るこの場面で直球一本はきつい。しかももう一つ次の打者は他ならぬ山田なのだ。

3番打者がバッターボックスに入った。五十嵐がしばし迷ってからサインを出した。高めのストレート。危険だ、と里中は思った。内心五十嵐もそう思ってるのだろうが、ストレート以外に要求しようがないのだから仕方ないということか。

――里中は決意を固めると、セットポジションから第一球を投げた。要求よりも低く、ど真ん中に来た球に五十嵐はあわてた。バッターがかすかに笑みを浮かべ真っ正面から打ちにいく。が、突然ボールが下に沈んだ。すでに全力のスイングをしてしまっているバッターはわずかに体を沈めて何とか当てたものの、ボールは後方上空へ高く上がった。

キャッチャーフライ。狙い通りだ。3番打者であってもバント狙いで来ておかしくないところを、絶好球と見えるボールを投げることでヒッティングを誘い、ボールを打ち上げさせた。里中は会心の笑みを浮かべかけたが、打球にスピンがかかっていたのか予想外の投球にあわてた余韻をひきずっていたのか、五十嵐がボールをはじいた。打者は一塁へダッシュし、ランナーが一斉にスタートを切る。五十嵐はあわてて球を取りに向かう。思いがけぬ事態に、里中は急いで本塁へ走った。ベースの前に立ちはだかったところへランナーが真っ直ぐ突っ込んでこようとして――数十センチ手前で足を止めた。

つい30分ほど前に本塁クロスプレーで大事故が起こったばかり、しかも今度のピッチャーは150センチそこそこの痩せっぽちの少年。ランナーの躊躇も無理からぬところだった。時間にすれば数秒だったろうが、その間に五十嵐が里中に送球、はっと我に返ったランナーに里中はタッチした。

 

予想外の展開だったが、何とか危機は脱した。しかしまだ一、二塁に走者がいる。そして打者は、山田だ。

ネクストサークルの山田が立ち上がる。里中はタイムを願い出ると、五十嵐をマウンドへ手招いた。

「先輩、お願いがあります。山田の打席はおれにサインを出させてください」

「なんだって?」

「山田はストレート一本じゃ絶対に打ち取れない。変化球で勝負したいんです」

「変化球だと?悪いがいきなりさっきみたいな球を投げられてもおれは取れないぜ」

「取れなくてもいいんです。・・・山田はきっと当ててきますから」

そう、取れなくても相手が山田なら関係ない。あいつなら必ず当てる。必ず打つ。それをいかに凡打に打ち取るかが、自分の仕事だ。

「・・・そうだよな。おまえもあいつだけは許せないよな。わかった。おまえの好きに投げろ。小林の敵討ちをしてやろうぜ」

どうも自分の心境を誤解されてるようだが、それで納得してくれるなら別にどうだっていい。里中は「ありがとうございます」と軽く頭を下げた。

 

左打席に立った山田を里中はじっと見つめた。ついにこの男と対決できる。ほんの数十分前まではこの男と戦いたいと切に願いながらもそれが現実のものになるとは想像もしなかった。その原因となった悲惨な事故を思い、胸に痛みが走るのを覚える。

――きっと勝ってみせるからな、小林。

里中は心に誓うと、キャッチャーに向かいサインを送った。どうせ取れないのだから半ば形だけだ。この場面でのキャッチャーの役割は三塁に睨みをきかせて盗塁をさせないことで、実際五十嵐の視線は里中ではなくその後ろに見え隠れするランナーに向けられている。

里中はセットポジションからボールを投げた。ぐっと内角に切り込むカーブ。山田がバットを力強く振った。ファール。ついで外角へのシュート。これもファール。内外、高低へ持てる限りの変化球を駆使してゆさぶりをかけるが、山田はその全てをファールにした。自分が疲れて、失投するのを待っている。大ホームランできるような球を、待っている。

――そうはさせるか。

十二球目、いいかげん肩で息をしはじめた里中は懸命にボールを投げようとし・・・踏み込んだ足がわずかに前方にすべった。バランスをくずしながらも途中で止めるわけにいかず、そのまま右腕を振り切る。やや甘く入った球を山田は思い切り叩く――叩くつもりが、ボールが急に失速して山なりに落ちた。

――山なりの、くそボール・・・!。

五十嵐はあの日里中が小平に投げた球を思い出した。一見単なる変化球のすっぽ抜けに見える球。いや今回の場合本当にすっぽ抜けたのかもしれないが。それとも体勢を崩してみせたのも計算のうちなのか・・・?

しかし山田はそのまま空振りにはしなかった。上体をさらに前に押し出すようにしてボールが落ちきらないうちに真芯でボールを捉える。しかしバットの角度が少し下向いたために、本来の狙いよりも低いコースへ打球は飛んだ。正面に立つ里中の顔面目がけて。

強烈なピッチャーライナー。ぶつかれば大怪我は避けられないだろう。山田の顔から血の気が引いた。里中は体をのけぞらせながら素早く顔の前にグローブを差し出す。あやうく打球をグローブで受け止めた瞬間、衝撃で里中の体は後ろに引っくり返った。

「里中!」

五十嵐が、内野が、駆け寄ろうとするのを制するように、里中は倒れたままグローブをかかげ、中を示してみせた。ボールはしっかり捕球されたままだ。

東郷ナインの歓声に「アウト!スリーアウトチェンジ!」という審判の声が重なった。

 

11回裏。9回表からリリーフした里中と違い、11回を一人で投げてきた西南のピッチャーの疲労は顕著だった。一方里中のファインプレーに気をよくした東郷ナインはすっかり波に乗っていた。山田の好リードにもかかわらず西南のピッチャーはつぎつぎにヒットを打たれ、3番バッターのセンター前ヒットで2塁ランナーが悠々ホームイン。波乱含みの長い試合は4対5、東郷学園中学の勝利で幕を閉じたのだった。

 

試合終了後すぐに東郷野球部の面々は小林が運ばれた病院にかけつけたが、しかしちょうど手術中ということで面会は叶わず、翌日試合の報告がてら再び揃って見舞いに訪れた。

小林は両目に包帯を巻いてベッドに横になっていたが、思ったより元気そうな様子で勝利を喜んでくれた。しかし対する監督とナインの顔は一様にこわばっていた。すでに看護婦から小林の状態を聞かされていたからだ。一同は言葉少なに、あるいはやけに饒舌に励ましの言葉を口にして逃げるように病室を出た。

 

コンコンとドアをノックすると、さっきと同じ「はい」と落ち着いた声が返ってくる。ためらいがちにドアを開けて再び病室の中に入る。

「誰だ?稔子か?」 妹の名を呼ぶ小林に「――おれだよ。里中だ」と短く答える。

「里中?どうしたんだ。忘れ物か?」 訝しげな声が問い掛けてくる。

「・・・そうじゃない。どうしても聞きたいことがあって」

一度皆と病院を出ながら引き返してきたのはそのためだ。皆が一緒ではとても聞けないようなことだった。

「・・・なんだ?」

促す小林の声は意外なほど優しい。それに励まされるように里中は口を開いた。

「・・・どうしておれだったんだ?控えのピッチャーなら辻本がいるのに、どうしておれを名指ししたんだ?」

数秒のあいだ沈黙が落ちた。回復不能の大怪我を負ったばかりの相手に対して、自分の都合ばかりの質問だとはわかっていたから、小林の感情を傷つけたのかと里中はややうろたえた。しかしやがて小林は口元に小さな微笑を浮かべた。

「――初めておまえを見たのは野球部に入った日だった。おまえは一人で数人を相手に殴り合いの喧嘩をしていた。自分より大きい相手をパンチ一発で吹っ飛ばしたのを見て・・・体は小さいが手首は強いんだな、そう思った」

「・・・・・・」

「それにおまえがアンダースローに変えてから小平に投げた球――小平は口ではくそボールと言っていたが、その実キレが鋭すぎて落下点の目測をあやまったのだと遠目にもよくわかった。おまえは野球部ではピッチャーとしての練習はしていなかった。一人で修練を積んであれほどの球を、投法を身に付けたその根性と才能には正直脱帽したよ」

里中は無言のまま小林の言葉を聞いていた。声が、出せなかった。小林は自分のことなど歯牙にもかけていないと。ずっとそう思っていたのに。

「だが、監督におまえをピッチャーとして使うよう進言はしなかった。小平に限らず、現状ではうちにおまえの変化球を受けられるキャッチャーはいないし・・・ライバルに塩を贈るほどおれはお人よしじゃないからな」

小林は少し笑った。ライバル、という単語が里中の耳の奥で強く響く。小林はちゃんと自分を見ていてくれた。自分を認めてくれていたのだ。

「――しかしこういうことになった以上話は別だ。辻本は名門東郷学園のマウンドを守れる器じゃない。おれはそれにふさわしい器量を持った男に東郷のマウンドを引き継ぎたい。里中、」

小林は見えないはずの目で里中をじっと見すえた。

「おまえが投げろ。今からおまえが東郷のエースだ」

里中はついにシーツに顔を突っ伏した。涙があとからあとから溢れてきて、こらえきれぬ嗚咽が喉からこぼれ落ちる。

里中たち野球部員はすでに監督を通して聞かされていた。小林の怪我は視神経に及んでいて、完全失明は免れても野球部への復帰はまず不可能だと。ピッチャーにとって投げられないことがどれほどつらいことか。神奈川の中学で最高の投手とまで言われた男が、突然に選手生命を絶たれて――きっと自分だったら耐えられない。暴れて泣き叫んで・・・・・・。

なのに小林は自分がいなくなった後の野球部の心配までしている。こんな悲劇に見舞われてなおその矜持を崩そうとしない。

――これもエースのプライドなのか。

人前で、まして小林の前でこんな風に泣くなんて普段なら考えられなかった。でも今は不思議とそれを恥ずかしいとは感じなかった。ずっと背中を追ってきた相手にここまで言ってもらって、感激しない奴などいるものか。

――まかせておけ小林。東郷のマウンドはおれが必ず守ってみせるから。

その思いを実際に言葉にできたのは、数分たってようやく涙が止まってからだった。


 

「ついにこの日が来たな」

「ああ、おまえが復帰して、山田が復帰して・・・長かったよ。」

隣に立つ小林を見上げた里中が微笑んだ。あの試合から1年ほどを経て、完全失明のリスクのある難手術を乗り越え、小林は見事視力を取り戻して野球部に戻ってきた。夏の大会を前にしての小林の復帰が、現在のエース里中の立場を微妙なものにするのは否めない。そのはずだったが、小林が帰ってくると知って誰より大喜びしたのはほかならぬ里中だった。

「小林が怪我したおかげで繰り上がったエースなんて言われるのはうんざりだからな。これで正々堂々とおまえからエースの座を勝ち取るチャンスができたぜ」

復帰初日に不敵な笑顔で言い切られて、いきなりそれかと小林は苦笑したものだった。

 

小林の復帰に前後して山田も野球に戻ってきていた。よほどショックが大きかったのだろう、あの試合のあと山田は野球部を辞め学校まで替わってしまった。しかし自分は復活をかけて目の手術をするからおまえも野球に戻れとの小林の必死の説得によって、山田は再び野球をやることを決心してくれた。その山田の所属する鷹丘中学野球部と東郷は、今日地区予選の第一試合で戦う。

「しかし山田と長島以外は見事に素人ばかりらしいじゃないか。転校した先が長島のいる鷹丘だっていうから長島とのバッテリーに期待してたんだが」

県内では小林に次ぐ速球投手として名を馳せた長島も肩を壊して今は打者に専念している。現在のエースは何だかえらく奇天烈な男らしいが、

「なんだっていいさ。山田と戦えるんなら」

きらきらと闘志に輝く目で里中は言い、小林もそれに頷いた。そう、ライバルは山田ひとり。その認識はピッチャー二人に共通していた。

「山田の打席、一つはおれに回せよ。復帰祝いに先発は譲ったけどな」

「わかってるさ。おまえが後にいると思えばおれも初回から全力で飛ばしていける」

二人は目を見交わして微笑みあった。

「勝とうぜ、小林」

「よし行こう、里中」

手の平をパンと勢いよく叩き合わせて、彼らはグラウンドへと走り出していった。

 


西南対東郷の試合経過なんですが、第6巻で小林が鷹丘中学に山田を訪ねてきた時の回想では10回裏の時点で1対1となっているのに、31巻土佐丸戦中の里中の回想では東郷は5回までで4点入ってることになっている・・・。なので6巻と31巻で語られる試合経過の断片をなるべく取り入れつつ、矛盾する部分は作劇上都合の良い方を選択しています。ついでにクロスプレーが起きた回も、原作(6巻)の10回裏から9回表に変更しちゃってます。東郷ナインの選手名は中学三年時の対鷹丘戦のメンバーから取りました。

(2010年2月27日up)

 

1回表:1、2、3凡退。
1回裏:1番ヒット、2番内野フライ、3番ヒット(一死一、二塁)、山田ワンストライクから2塁ランナーを刺す(二死一塁)、小林ヒット(二死一、二塁)、5番内野フライ。
2回表:山田ファール2本からレフトライナー、アウト。5、6番凡退。
2回裏:6番二塁打、7番バント(一死三塁)、8番セーフティバント、ファースト取ってホーム送球、山田ホーム死守(二死一塁)、9番三振。
3回表:7、8、9凡退。 
3回裏:1番ピッチャーフライ、2番ヒット、3番ファーストゴロ(二死一塁)、小林ホームラン(0−2、二死)、5番ファール、山田取りに行ってアウト。
4回表:1、2、3凡退。
4回裏:6番ヒット、7番死球、(無死一、二塁)、8番バント(一死二、三塁)、9番スクイズ失敗、三塁ランナーアウト(二死一、二塁)、1番凡退。
5回表:山田ソロホームラン、5、6、7凡退(1−2)。
5回裏:2番凡退、
3番ホームラン(1−3)、小林四球、5番ヒット(一死一、二塁)、6、7凡退(1−3)。
6回表:8、9、1凡退。
6回裏:8、9、1凡退。
7回表:2番凡退、3番死球、山田センター前ヒット、一点返す(2−3、一死二塁)、5番送りバント(二死三塁)、6番セーフティバント(山田走ると見せて失投を誘う)、山田ホームイン(3−3、二死一塁)、7番凡退。
7回裏:2番ヒット、3番凡退、小林敬遠(一死一、二塁)、5番ピッチャーゴロ、6番凡退。
8回表:8、9、1凡退。
8回裏:7、8、9凡退。
9回表:2、3凡退、山田火の出るようなライナーを右中間へ、三塁打(二死三塁)。あせった小林、5番打者へショートバウンドを投げキャッチャーがファンブル、山田本塁突入、事故発生。一点追加。4−3(二死、打者カウントノーワン。里中リリーフ)。5番三振。
9回裏:1番打撃妨害、2番ヒット、3番ヒット(無死満塁)、4番里中山田を叱咤。スクイズからウエスト、里中飛びついて打つが山田もこれに飛びつきワンアウト、本塁フォースアウト。(二死、二、三塁)、5番一塁方向へバント、三塁ランナーホームイン、一塁アウト(4−4)。
10回表:6、7、8凡退。
10回裏:6番ヒット、7、8、9凡退。
11回表:9番凡退。1番セーフティバント、2番センターライナー、(一死一、三塁)、3番、里中サイン無視で変化球を投げキャッチャーフライにするが、捕手落球、ランナー一斉スタート。里中本塁カバーへ、3塁ランナークロスプレーをおそれためらったところへ返球、里中タッチしてアウト。(二死一、二塁)。山田に変化球で勝負。山田ファールでねばる。顔面へのピッチャーライナー。里中倒れつつも捕球。
11回裏:1番ヒット、2番セカンドライナー(無死一、二塁)。3番二塁打。二塁ランナー本塁帰還。試合終了(4−5)。

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