『ダークライオン』
主なキャラクター:ロック、ミレーヌ、ダークライオン、モンタナ大尉、ハスキン、アープ、ザイツェフ、ドノヴァン公
「4惑星連合」の一つ、惑星デルロイトのドノヴァン公の養女・ミレーヌ姫が海賊「ダークライオン」によって誘拐される。エスパーである彼女の脳には4惑星連合の重要機密がしまわれていた。ドノヴァン公からミレーヌ救出を命じられたモンタナ大尉は、金で集められた傭兵たちを率いて「ロイド」にあるダークライオンの基地へ向かう。その傭兵たちの中にロックの姿もあった。
彼らはそれぞれの特技を生かして基地に乗り込むが、すでにミレーヌは宇宙要塞に移されたあとだった。傭兵5人は要塞に潜入をはかるが、メンバー内には機密が漏れることを恐れたドノヴァン公の同盟者が送り込んだ暗殺者が紛れこんでいた。一方ドノヴァン公のもとで人間データバンクとしての暮らしを強いられていたミレーヌは、「エスパーにもしあわせになる権利はある」と語り、自由を約束してくれたダークライオンに惹かれるものを覚える・・・。
マスター・バルカンの再来?ダークライオンが登場し、「書を守る者」の計画の一端が見え始める(「オーリック家の書」はすでに『シャトレーズ』で出てきてるけど)。そして〈道具として扱われるエスパーの悲哀〉というテーマが久々に登場。まあミレーヌの場合、エスパーだから“物”扱いを受けたというより「人間一人より重要機密が重要」という考え方の犠牲者というべきかもしれないが。
マスター・バルカンの部下ヒューガがエスパーであるゆえに軍人として出世できなかった(『超人の死』)というのを考えても、帝国時代もエスパーはやはり恵まれてなかったらしい。ミレーヌの実母イブリンもそうしたエスパーの一人だったのだろうか(イブリンがエスパーだという描写はないが、ミレーヌの母親なのだから可能性は高いと思う)。帝国初期のころはマイノック公国のエスパーであったオベル、フェルトマンは大佐、ジュディスは少佐と結構高い地位にいたし、帝国だって初代と二代皇帝がエスパーなんだから決してエスパーの地位は低くなかったはず。オーリック家が帝位を奪ってから、エスパーの待遇が悪くなったのかもしれない。カルダームV世とW世(たぶん)の下で辣腕を振るった宰相ド・ラージュはあまりエスパーを評価してなかったし、リートの件(『魔術師の鏡』)や古くは皇帝計画(『新世界戦隊』)をみてもエスパーはコンピューターにとって最大の敵だったわけで、カルダームW世=銀河コンピューターとしてはエスパーは少しでも遠ざけておきたかっただろうから。
それはさておき、この話で一番好きなのは、「エスパーにだって幸せになる権利があるって いってたわ 病気なのかもしれない 生まれついての悪人かもしれない・・・ けど はじめて私を人間として扱ってくれた人よ!」というミレーヌのセリフ。先にザイツェフ少佐の強引なやり方を責めたロックがそれと同じ事を人(ダークライオン)にしてしまうという皮肉な現実を鋭く撃った言葉。マスター・バルカンがロックにしたことを思えば無理もない行動なのだが、結局ロックはザイツェフに言ったように、重要な情報より人の命の方を取った。この「甘さ」のために彼はまた回り道をすることになるが、それがロックのいいところであり、ヒーローたる所以なのだろう。
ところでミレーヌ以外で超記憶能力(らしきもの)を使ってるエスパーというとロックを別にすればモールくらいしか思いつかないが、彼(とミオナ)がミレーヌの先祖という線は、ありかな?その関係でロックはイブリンのことを知っていたとか。まあ単なる妄想なんですけども。
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