ロード・レオン

１　流星　ＦＡＬＬＩＮＧ　ＳＴＡＲＳ　　作曲　石川恵樹　　編曲　高橋洋一

　ほとんどギターとドラムだけ（あとシンセが少々）というシンプルな構成。前作『炎の虎』の「ＳＰＡＣＥ　ＶＯＹＡＧＥ」などと共通する宇宙の広がり、神秘性をたたえたインスト曲。こういう曲が入ると「ああ『ロック』だなあ」と感じてホッとする。

２　ロック・ザ・ズーパーマン　ＬＯＣＫＥ　ＴＨＥ　ＺＵＰＥＲＭＡＮ　　作詩　康珍化　　作曲　発地伸男　　編曲　高橋洋一　　歌　ハーリー木村

　『ロック組曲　超人ロック』中の代表的名曲「ＬＯＣＫＥ　ＴＨＥ　ＺＵＰＥＲＭＡＮ」の日本語版。今回はハーリー木村（木村昇）氏が歌っているが、サビでの正攻法のシャウトは発地氏のファルセットポイスとはまた別の魅力がある。『魔女の世紀』限定だった歌詩も、『ロック』のストーリー全般に通用する内容となった。前にも書いたがもし仮にロックがアニメシリーズ化されるなら、この曲を主題歌にしてほしいものだ。

３　青い髪のエスパー　ＴＨＥ　ＥＳＰＥＲ　ＨＡＳ　ＢＬＵＥ　ＨＡＩＲ　　　作詩　康珍化　　作曲　鈴木キサブロー　　編曲　高橋洋一　　　歌　ＭＯＪＯ

　こちらはレオンのテーマ。勇ましい曲調とサビの「ＷＨＯ　ＡＲＥ　ＹＯＵ？」のくり返しが印象深い歌。かっこよい曲なのだが、「その指が触れる花は枯れて　火の瞳　見つめる木は燃えて」のくだりでつい笑ってしまう。「惑いの星と　書いて惑星」なんて部分は渋いんだけどなあ。

４　エスパーバリア　ＥＳＰＥＲ　ＢＡＲＲＩＥＲ　　　作曲　巳城研二　　編曲　高橋洋一

　戦闘イメージのインストゥルメンタル。めちゃめちゃ格好良い曲。終盤？の８小節ほどで長調に転調する個所がとくに好き。

５　アストリス・コンツェルン　ＡＳＴＯＲＩＳ　ＫＯＮＺＥＲＮ　　　作詩　康珍化　　作曲　鈴木キサブロー　　編曲　高橋洋一　　歌　巳城研二

　なんつーか・・・すごい歌。歌詩に「工場」なんて単語の出てくる歌、小学校の社会の授業で見た教育テレビ朝の社会科番組以来だわ。友人いわく「アストリスの社員朝礼で斉唱してそう」。いやこれ斉唱しちゃまずいだろ。しかし曲は何気にかっこよかったり。とくに終盤のギターは秀逸。

６　スターダスト・ストーリー　ＳＴＡＲＤＵＳＴ　ＳＴＯＲＹ　　作詩　康珍化　　作曲　亀井登志夫　　編曲　高橋洋一　　歌　かおりくみこ

　今回の「誰の歌だよ？」な曲。いちおう毎回ラブソングが入るお約束なんでしょうが、『ロード・レオン』は全然恋愛色のない話だからなあ（フローラが一番大事なのは兄貴であって、ロックに惚れてるとは思えん）。とはいえ、このアルバムでも好きな曲の一つ。美しいメロディーをかおりくみこさんの落ち着いたメゾソプラノが伸びやかに歌いあげる。

７　ＢＥＬＩＥＶＥ　ＩＮ　ＹＯＵ　　作詩　康珍化　　作曲　Ｅｄ　Ｄｕｒｂｒｏｗ　　編曲　高橋洋一　　歌　ハーリー木村

　このアルバムの白眉。詩も曲も実に素晴らしい。ロックとレオンの間にここに歌われるような友情があったかは疑問だが。ロックのレオンに対する感情は友情というよりエスパーとしての同志愛とその境遇への同情だと思うので。むしろ『ＢＡＮＡＮＡ　ＦＩＳＨ』のアッシュと英二なんかを彷彿とさせる。

８　ＹＯＵ　ＡＲＥ　ＣＲＡＺＹ、キャプテン　ＹＯＵ　ＡＲＥ　ＣＲＡＺＹ，　ＣＡＰＴＡＩＮ　　作詩　康珍化　　作曲　鈴木キサブロー　　編曲　高橋洋一　　歌　ハーリー木村

　タイトルを見た時から異常に気になっていた曲だが、実際聴いてみると想像を上回る展開にもう笑いが止まらない。タイトルは「ＣＲＡＺＹ」なのに、オープニングからラストにいたるまで歌詩も曲もアレンジも実にさわやかそのもの。「ＷＯＷ　ＷＯＷ　グリフォン号」って。「ＡＨ〜　キャプテーン　それはただ〜命を〜捨てにゆく〜それだけ〜♪」って。あはははお腹痛い。ようするにロンウォール行きに反対してレオンに「はう！」って斬り殺されたあの副長の歌ってことですかね。この歌をネタにずいぶんレオン＝ライオットファンの友人をからかったものです。

９　テレポーション　ＴＯ　ＴＨＥ　ロンウォール　ＴＥＬＥＰＯＲＴＩＯＮ　ＴＯ　ＴＨＥ　ＲＯＮＷＡＬＬ　　作曲　巳城研二　　編曲　高橋洋一

　前曲から一転、さわやかさのかけらもない不気味かつ不可思議な味わいの曲。曲としての構成もあるんだかないんだか。テレポートとはこんなに変な気分がするものなのか。初期のロックがテレポートのたびに疲れてたわけだなあ。なんだか麻薬中毒者の見る（感じる）世界ってこんな感じなんじゃないかと思ったり。なぜかこの曲大好きですが。一度聴いたら忘れられない味わいがある。

１０　エスパー・ファイティング　ＥＳＰＥＲ　ＦＩＧＨＴＩＮＧ　　作詩　康珍化　　作曲　巳城研二　　編曲　高橋洋一　　歌　ハーリー木村

　前曲のラストをひきずりながらすごい不協和音状態ではじまる。初めて聴いたときはこのイントロ恐かった。一つの音につめこんだ歌詩のたたみかけるようなリズム感とドラムがユニークな迫力を生み出している。　

１１　愛のオデッセイ　ＳＰＡＣＥ　ＯＤＥＳＳＥＹ　　作詩　康珍化　　作曲　鈴木キサブロー　　編曲　高橋洋一　　歌　かおりくみこ、ハーリー木村

　“アルバムに一つ男女デュエットのラブソング”というパターンの最初の曲。単にラブソングというだけでなく、タイトル通り宇宙的な広がりを持った人類愛を歌う。スケールの大きい美しい曲。『ロード・レオン』のラストにふさわしい。

１２　惑星　ＲＥＡＤ　ＹＯＵＲ　ＭＩＮＤ　　作曲　発地伸男　　編曲　高橋洋一

　オープニングの「流星」と対になっている（のであろう）インスト曲。「流星」と同じく雄大さと神秘性を感じさせる曲だが、こちらの方が華やかで明るい印象。三拍子のリズムがゆったりと落ち着いた雰囲気をかもし出している。

タリスマンによる三作目。編曲はタリスマンではないし、作曲陣にもタリスマン以外が多く関わっているため、タリスマン色がやや薄まっている。ただ前作では歌っていなかった木村昇（ハーリー木村）氏が復活しているのは嬉しい。作詩も今までのビル・ビリー、伊藤アキラコンビにかわり、８０年代Ｊ−ＰＯＰのヒットメーカー・康珍化氏が参加。作曲も同じくポップス界の大御所である鈴木キサブロー、亀井登志夫氏らが参加し、メジャー色が強くなった。タリスマンメンバーの作った曲とそれ以外の曲の雰囲気の違いは驚くほどである。このコントラストがこのアルバムの一種ミステリアスな空気を生み出しているんだなあと納得。

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