長いお別れ

 

 

 2022年10月30日に聖悠紀先生が亡くなられました。

 

 連載中の『カオスブリンガー』や『ロック・イン・ザ・ボックス』の線の乱れに驚き、パーキンソン病で闘病中と発表された時から、遠からずこの日が来るのだろうと覚悟はしていました。『ロック』が未完に終わったことについても、聖先生には一生涯『ロック』を書き続けてほしいと思っていたし、個人的には『ロック』の〈最終回〉というものが想像できなかったので、完結を見届けられなかったことを惜しむ気持ちは正直湧いてきません(むしろ明確な完結を迎えてしまってたらその方がずっと寂しかった)。なので先生の訃報に接した時も、「ああ、ついに・・・」と比較的静かに受け止められたつもりでした。

 ただ一方で〈『ロック』の新作をもう読めない〉という事実を全く実感できないのです。これまで何度も掲載誌が休刊して中絶しては復活を果たしてきただけに、〈また数ヶ月から1年程度待てば続きが読めるだろう〉とつい思ってしまう。つまるところ私がさほど動揺していないのは現実を受け入れていないからではないのか。こうした追悼文めいたものを書くことで少しは現実と向き合うことになるか(向き合いたくはないですが)と思いましたが、全然ですね。この先もずっと、心のどこかで『ロック』の再開を信じて待ち続けるような気がします。今回はちょっと、長いお別れになりそうだけれども──。

 

 

 

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